英国政府、ノー・ディールの際の輸入通関手続きをさらに緩和

(英国)

ロンドン発

2019年03月26日

英国政府は2月に、EUから何ら合意なく離脱するノー・ディールとなった場合の対応策として、EUからの輸入通関に係る移行簡易手続き(TSP)の導入を発表している(2019年2月7日記事参照)が、政府は3月22日、TSPに関するさらなる緩和措置を発表した。TSPでは、輸入者は通関時ではなく、物品が到着した月の翌月に補足申告(SD)を提出すればよいが、今回の措置により、2019年9月30日までに輸入される物品については10月4日までにSDを提出すればよく、輸入関税の納付も同日までとなる。また、TSPを利用できるのはユーロトンネルやドーバー港など優先度の高い港湾としていたが、EUからの輸入通関を行う全ての港湾・空港で利用することが可能となる。政府は英国国境局の職員を900人追加採用したことも発表している。

また3月22日には、高速道路管理局がドーバー港やユーロトンネルの入り口が所在するケント州の道路混雑緩和のための管理を開始すると発表した。3月25日から、ロンドン近郊とドーバー港のある沿岸部を結ぶ自動車専用道路M20路線の一部区間(ジャンクション8と9の間)について、沿岸部へ向かう車線を欧州大陸に向かう7.5トン以上の貨物運搬車両(ローリー)専用とする。他の車両は、ロンドン方面に向かう車線を上下線に分けて通行する。M20路線がこの措置を使っても混雑する場合、ドーバー方面へは迂回ルートを使用することになる一方、ユーロトンネルへのローリーの通行は維持される。ただし、迂回ルートを使用してもなおM20路線が混雑する場合は、ロンドンとM20路線をつなぐM26路線の沿岸方面車線が、ユーロトンネルに向かうローリーの専用道路として使用される。

(木下裕之)

(英国)

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