ムーディーズ、非開示債務再編を評価しモザンビーク格付けを引き上げ

(モザンビーク)

マプト発

2019年10月04日

米国格付け会社のムーディーズは9月20日、モザンビーク政府の長期債務格付けを、現地通貨建ておよび外貨建てともに「Caa3」から「Caa2」に引き上げた。同社の定義では、「Caa」は「投機的で安全性が低いと見なされ、信用リスクが極めて高い債務に対する格付け」となっている。

今回の格上げの背景には、非開示債務問題において一定の進展がみられているとの判断がある。政府は2019年8月に、総額約20億ドルの非開示債務のうち約7億2,000万ドル相当を、額面総額9億ドル分の新規発行債券にスワップする債務再編提案を公式に発表した(2019年9月10日記事参照)。同提案が債権者の99.5%から同意を集めたことにより、9月30日に新債が発行される予定だ。

ムーディーズは今回の格上げ理由として、本債務再編により政府の財政負担が軽減され、債権者からの訴訟リスクが低減したことに加え、IMFによる対モザンビーク支援再開の見通しが高まったことを挙げた。今後のさらなる格上げに向けた要因として、財政健全化の進展と2023年に生産開始が予定されている天然ガス開発による国庫収入の増加に触れた。一方で、今後、格下げを招く要因として、天然ガス開発の遅延により、さらなる債務再編を迫られる状況に陥る可能性を指摘している。

他方、ムーディーズと並ぶ、米国格付け会社フィッチ・レーティングスは5月に、モザンビークの外貨建て長期債務格付けについて「選択的デフォルト」を維持すると発表している。グループ会社であるフィッチ・ソリューションズは今回の債務再編について、長期的には財政状況および国際社会からの信用改善につながるポジティブなものと捉えている。しかし、短期的には、2016年の非開示債務発覚以降に停止されている、IMFをはじめとする国際機関や各国からの一般財政支援再開にすぐにつながるものではない、としている。モザンビーク政府もIMFからの財政支援再開の必要性を重要視しており、ラジェンドラ・デ・ソウザ商工相は9月12日、IMFからの資金援助をできるだけ早く再開させるために最大限の努力を行うと表明した。

(松永篤)

(モザンビーク)

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