「人事院」を創設、公務員保有資産の段階的な申告も導入へ

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年10月15日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は2019年10月3日、大統領令第5843号「政府サービス制度と人事政策の重要な向上に関する施策について」に署名、軍隊を除く政府職員・公務員の採用・育成・管理を一元的に統括する機関と、付属する基金の設立を決定した。

新たに設立されるのは、大統領付属公務発展庁(ARGOS)で、「人事院」に相当する。大統領令第5843号では、既存の人事施策の問題点として、a.統一的な人事政策と人的資源の効率的運用の欠如、b.公務員の採用に関する透明性の欠如、c.公務員の身分・社会保障の欠如を指摘。これらの問題から、若年層の公的機関への就職意欲が減退し、かつ汚職、形式主義、官僚主義の温床となっている、としている。今後、同庁を中心に、a.公務員の能力評価、昇級モデルの導入、b.公開・独立型採用試験の実施、d.統一的な公務員給与体系の構築、e.統一的な人材(情報)バンクの整備、f.人事運用・教育面でのデジタル技術導入、g.効率的な社会保障と公的機関への就労意欲向上、などの施策を進める。

これに加えて、同庁に付属した「公務発展支援基金」を設立し、a.公務員の能力向上、b.国外の高度専門家(外国籍を含む)の誘致、c.人事運用などのデジタル化支援、d.公務員の国外研修実施、e.公務員教育イベントへの財政的支援などを行う。

政府は、2020年1月から、こうした人事施策をa.法務省、b.雇用労働関係省、c.財務省、d.(国有の)国民銀行のほか、全国12の共和国構成体の州都(タシケント州・タシケント市を除く)、タシケント州の1都市、タシケント市の1地区で試験運用する予定。2021年1月からは全国レベルで実施予定としているが、準備に向けた時間が少なく、実際の本格運用には、一層の時間が必要と予想される。また、2020年6月1日から、段階的に公務員の収入・資産申告制度を導入することが、同大統領令添付資料1に明記されており、実際にどこまで実効性を持つかが注目される。

現在、ウズベキスタンでは公務員の採用に関して、各省庁・機関が独自に募集・採用試験・面接などを実施している。採用過程には外部の目が入らないことが多く、縁故主義の温床となっている、との批判がある。ミルジヨエフ大統領は2019年5月、タシケント市の税務職員に能力査定試験を課し、基準を下回る職員を解雇するなど(2019年8月27日記事参照)、政府職員の執務能力に関し厳しい姿勢で臨んでいる。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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