8月の小売売上高、1981年の統計開始後最大の下落

(香港)

香港発

2019年10月09日

香港政府統計処は10月2日、8月の小売売上高(速報値)が前年同月比23.0%減の293億6,000万香港ドル(約4,110億円、1香港ドル=約14円)だったと発表した。1981年の統計開始後、前年同月比の単月ベースでの増減率が最大の減少幅となった。

2019年に入り、1月は前年同月比7.0%増の480億8,000万香港ドルだったが、2月以降、7カ月連続で前年同月比で減少した(図参照)。

図 香港の小売売上高の推移(2019年1~8月)

業態および品目別にみると、最も落ち込んだのは「宝飾、時計、高級贈答品」で、前年同月比47.4%減の39億3,000万香港ドルだった(表参照)。次いで減少幅が大きかったのは「衣類、靴、関連製品」で32.1%減(30億香港ドル)、続いて「薬、化粧品」の30.0%減(26億8,000万ドル)となった。これら品目の主な購買客は、中国からの旅行客とみられ、旅行客の減少(2019年10月9日記事参照)が売上高の減少につながっているとみられる。

表 2019年8月の香港の小売売上高(業態、品目別)

香港政府報道官は「アジア通貨危機の影響を大きく受けた1998年9月を超える落ち込みだ」として、経済の冷え込みにより消費マインドも低下しているほか、社会混乱が観光業および消費活動に対し深刻な影響を及ぼしており、短期的には低迷が続くとコメントしている。

また、香港小売管理協会の謝邱安儀主席は、国慶節休暇初日(10月1日)のデモ活動の影響を受け、会員企業のうち3割から8割の店舗が同日の営業停止を余儀なくされたほか、全店で営業ができなかった化粧品店もあるとし、国慶節の売上高は例年に比べ半減する、との見込みを示した(「信報」10月3日)。

(渕田裕介)

(香港)

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