8月の香港への旅行客、SARS以降最大の落ち込み
(香港)
香港発
2019年10月09日
香港旅遊発展局(HKTB)は9月30日、8月の香港への旅行客数が前年同月比39.1%減の359万人(延べ人数、以下同様)だったと発表した。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時以降、最大の減少幅となった。デモ活動の継続に加え、8月は香港国際空港の一時閉鎖により多数の欠航便が出たことを受け、各国・地域から香港への旅行を控える動きが、さらに顕著になっている。
香港への旅行客数を国・地域別にみると、全体の8割弱を占める中国からの旅行客数は、2019年上半期は順調に推移していたものの、7月に前年同月比でマイナスに転じ、8月は42.3%減と大きく落ち込んだ(表1参照)。
8月には、マカオを除く全ての主要国・地域で、2桁以上のマイナス幅となっている(表2参照)。
宿泊客数は、前年同月比45.9%減の153万8,000人となり、特に中国からは50.2%減の107万人と半減した。近隣からの香港来訪は、日帰りなど必要最低限の滞在となっている様子がうかがえる。
10月1日付「香港経済日報」によると、中国からの宿泊客が多い尖沙咀(チムサーチョイ)のホテルの宿泊率は、8月は夏季休暇の繁忙期にもかかわらず例年の3~4割にとどまり、9月は1割まで落ちるとしている。
旅行客数の大幅な減少を受けて、HKTBの担当者は「今後、適切な時期に業界団体とともに、複数の地域で大規模な宣伝活動を展開する予定。香港のイメージ回復に努め、消費者の信頼を再構築したい」とコメントした。
(渕田裕介)
(香港)
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