GST再導入の検討ではなくSSTを改良、首相が意向

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年10月21日

マハティール・モハマド首相は10月7日、物品・サービス税(GST)を再導入する予定はないとの意向を示した。マハティール首相は10月3日に「国民が望むのであれば、政府は再導入に向けた検討を行う」と発言し、それに対し地元産業界を中心に支持が示されていた(2019年10月9日記事参照)。しかし、10月11日に発表された2020年予算案スピーチにおいて、「(2018年5月9日に実施した)第14回選挙における国民からの委任を尊重し、GSTの再導入は検討しない」と明示した。

SSTの改良に注力と表明

マハティール首相は10月8日には、売上税およびサービス税(総称してSST)による税収が2~3年でGSTによる税収を上回る見込みだとして、「政府はSSTの制度を改良していくことに注力する」と表明した(「ニュー・ストレーツ・タイムズ」紙10月9日)(図参照)。

図 GST/SSTによる税収推移

2020年のSST税収は前年比5.6%増の見込み

2020年予算案によれば、2020年のSSTによる税収は2019年の268億リンギ(約6,968億円、1リンギ=約26円)より5.6%増の283億リンギの見込みで、GST税収がピークだった2017年の約6割となっている。2020年1月1日からは、2019年予算案で既に発表されているとおり、消費者にデジタルサービスを提供する、課税売上高が年間50万リンギ超の国外事業者に対して、サービス税の納税が義務化される。

(田中麻理)

(マレーシア)

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