トランプ米大統領、対中追加関税引き上げを見送り、米中閣僚級協議で部分合意

(米国、中国)

ニューヨーク発

2019年10月15日

トランプ米国大統領は10月11日、米中貿易交渉の閣僚級協議を受け、10月15日に予定していた対中追加関税の引き上げ(2019年9月12日記事参照)を見送ると発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。12月15日に発動予定のリスト4B(注)の追加関税は現時点では予定どおり発動するとしているが、今後の交渉を経て最終的な判断を行うとした。中国は代わりに年間400億~500億ドル相当の米国産農産物を購入することで合意した。米中両政府はワシントンで10月10、11日の2日間にわたり、ロバート・ライトハイザー米国通商代表部(USTR)代表、スティーブン・ムニューシン米財務長官と劉鶴・中国副首相との間で貿易交渉を行った。両政府はトランプ大統領と劉副首相の面会後の記者会見で今回の合意概要を発表した。

11月のAPEC首脳会議の際に第1段階の協定に署名との見通し

米中両政府は今回の合意は第1段階として、このほか、中国における衛生植物検疫措置の改善、為替および中国の金融市場の開放、技術の強制移転や知的財産権についても合意したとしている(表参照)。

表 米中貿易交渉の合意事項(詳細未交渉の案件も含む)

ただし、合意内容の協定文書化には3~5週間を要するとし、両政府は11月16、17日にチリのサンティアゴで開催されるAPEC首脳会議の際に、トランプ大統領と習近平・中国国家主席が署名することを目指す。トランプ大統領は、その後に積み残しとなる案件につき第2段階、場合によっては第3段階の交渉で取り扱うとした。ホワイトハウスは習国家主席がトランプ大統領に宛てた親書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも公開して、両者の交渉が良い方向に向かっているとアピールしている。

米産業界は一定の評価をするも、残る先行き不透明感

対中追加関税の引き上げ延期の発表を受けて、全米小売業協会(NRF)は同日付のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「関税引き上げの延期は、これからホリデー・ショッピング・シーズンを迎える米国の小売業者と消費者にとって歓迎すべきニュース」と評価した。他方で、「正しい方向への一歩だが、先行き不透明な状況は続く」として、「米中両政府が全ての関税を撤廃し、米中の通商関係を根本的に仕切り直すべき」と呼び掛けた。かつてIMFで中国担当の責任者を務めた米コーネル大学のエスワー・プラサド氏も、今回の合意は両国間の主要な問題をほとんど解決していないとし、「ビジネスの観点からは、2国間関係の将来に関する懸念は緩和していない」と指摘している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版10月11日)。

ファーウェイへの禁輸措置は貿易交渉に含まず

米商務省が5月以降、米国製品の輸出・再輸出・見なし輸出を原則不許可としている中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の扱い(2019年8月20日記事参照)に関しては、ライトハイザーUSTR代表が「この協定には含まれていない。それは別のプロセスとなる」として、貿易交渉で扱わないことを明言した。ファーウェイの扱いは、かねて米議会の対中強硬派から、安全保障に関わる問題のため、貿易交渉とは切り離すべきとの声が高まっている。その1人のチャック・シューマー上院少数党院内総務(民主党、ニューヨーク州)は10月11日、自身のツイッターで「中国との交渉にはファーウェイへの規制緩和は含めるべきでない」と発言していた。

(注)USTRは当初、9月1日発動分をリスト4A、12月15日発動分をリスト4Bとして分けて公表していたが、現在はリスト4Aは8月20日付官報のANNEX AおよびBを、リスト4BはANNEX CおよびDPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照とのかたちで再掲載している。

(磯部真一)

(米国、中国)

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