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英国議会が新合意承認を留保、政府はEU離脱協定法案提出へ

(英国、EU)

ロンドン発

2019年10月21日

英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐる新合意が欧州理事会(EU首脳会議)で承認(2019年10月18日記事参照)されたことを受け、英国議会は10月19日、37年ぶりに土曜日の審議に臨んだ。しかし新合意が採決される前に、合意なき離脱(ノー・ディール)回避を確実にしたい超党派議員が提出した修正動議が可決され、新合意は採決されなかった。

新たに合意した離脱協定案が発効するには、EU側の承認手続きのほかに、英国議会で(1)新合意(政治宣言案と離脱協定案)が承認されるとともに、(2)離脱協定案を施行するための法案(EU離脱協定法案)も承認されなければならない。19日に新合意が承認されれば、ボリス・ジョンソン首相はEUへの離脱延期要請を義務付ける法(2019年9月10日記事参照)の適用を免れるところだったが、その後にEU離脱協定法案が可決されなければ、10月31日にノー・ディールとなる懸念があった。修正動議はこの盲点をふさぐもので、新合意の承認はEU離脱協定法案が可決されるまで留保するという内容。賛成322票、反対306票で可決され、新合意に対する議会の判断は先送りされた。

政府はこれを受け、EUへの離脱延期要請を義務付ける法に基づき、10月19日夜、EUに離脱の延期を要請する書簡を送った。しかし、ジョンソン首相はこれに署名せず、併せて送った署名入りの別の書簡で、延期要請は「英国議会の代表」によるものだとし、あくまで10月末の離脱を目指す考えを強調。21日にもEU離脱協定法案を提出し、月内の議会突破と離脱実現を目指している。

英国政府は、北アイルランドの民主統一党(DUP)の支持獲得には失敗したものの、与党・保守党のEU離脱強硬派の支持は確保。加えて、今回の修正動議を主導した元保守党のオリバー・レトウィン元ランカスター公領相や、首相に反発して9月に閣僚辞任、離党したアンバー・ラッド前労働・年金相ら穏健離脱派の多くも、ノー・ディールは認めないが合意に基づく離脱は実現すべきとして、法案採決では首相を支持する考えを示している。19日のBBCの調査では、新合意に賛成票を投じる意向の議員は312人、反対する議員は303人と、態度保留の議員を除けば首相支持が優勢となっており、月内に議会を通過する見込みも十分にある。

しかし、超党派議員が懸念したように、EU離脱協定法案の審議で、議会が空転する可能性もある。例えば、野党の大半が支持する2度目の国民投票や、EUとの関税同盟、労働・環境規制のEU基準との連動などを義務付ける修正動議が提出、可決されれば、これらに反発する政府は、法制化を断念せざるを得なくなる可能性もある。離脱延期要請により、10月末のノー・ディールを回避できる可能性が高まったとはいえ、不透明な状況が続く。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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