1カ月を切った大統領選挙、世論調査では与党が優勢

(ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2019年10月03日

ウルグアイの大統領選挙が10月27日に行われる。選挙まで残り1カ月を切り、各種世論調査結果が発表された。世論調査によると、政権与党、拡大戦線(FA)のダニエル・マルティネス候補が優勢で、最大野党、国民党(PN)のルイス・ラカジェ・ポウ候補が2位となっている(表参照)。10月27日に実施される第1回投票では、いずれの候補も過半を超える得票数を獲得することが困難とみられており、前回選挙(2014年)と同様に、FAとPNの候補による決選投票での接戦が見込まれている。

表 ウルグアイ大統領選挙の世論調査(主要候補者支持率、9月)

ウルグアイは2005年以降、FAが政権運営を担っている。その間、ウルグアイは一貫してGDP成長率がプラスを続けており、世界銀行によれば、2018年時点で1人当たりGDPが1万7,278ドルと、中南米諸国の中で最も高い。また、2019年8月にはフィンランド企業のUPMが、民間企業によるウルグアイ向け投資としては過去最高額となる、総額27億ドルのセルロース工場向け投資を発表するなど、同国は「中南米の優等生」と呼ばれている。

ファクトゥムの世論調査によると、ウルグアイ国民が主要課題として挙げているのは、治安(31%)、教育(16%)、経済/賃金/物価(13%)、薬物(11%)となっている。各主要政党の支持者の傾向をみても、治安がトップを占めており、治安対策の強化を訴える新興政党カビルド・アビエルトの元軍人ギド・マニーニ・リオス氏が2桁前後の支持率で勢いをみせているのも、今度の選挙の特徴だ。

今回の大統領選挙で、FAからは、これまで政権の中枢を担ってきたバスケス大統領(79歳)、アストリ経済財務相(79歳)、ムヒカ前大統領(84歳)のいずれもが立候補をせず、世代交代を行った。62歳のマルティネス候補は、国営エネルギー企業ANCAP総裁、工業エネルギー鉱業相、上院議員、モンテビデオ県知事を歴任してきた人物だ。同氏は、6月30日に行われた予備選挙で、カロリナ・コッセ前工業エネルギー鉱業相やオスカル・アンドラーデ建設労組(SUNCA)総書記(23.1%)らを破って、FAの大統領候補に選出された(2019年7月2日記事参照)。

(紀井寿雄)

(ウルグアイ)

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