第3四半期のGDP成長率、前年同期比1.9%、鉱工業と農業で伸び

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年10月24日

ロシア経済発展省は10月17日、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(前年同期比)が1.9%だったと発表した。第1四半期(1~3月)の0.5%(2019年5月9日記事参照)、第2四半期(4~6月)の0.9%(2019年8月28日記事参照)に比べ、高い伸びとなった。

同省は第3四半期の成長要因として在庫増加を挙げ、その理由として、鉱工業生産(前年同期比2.9%増)、農業生産(5.1%増)が寄与したとしている。一方、建設業は0.5%増と弱含みで、貨物輸送は0.6%減と足を引っ張った。

表 ロシアの主要経済指標の推移〔前年(同期)比〕

今回の伸びは一時的なものと同省はみており、2019年第4四半期(10~12月)は1.4~1.5%の成長にとどまるとしている。その理由として、小売商品売上高(前年同期比0.8%増)の減速傾向が継続している点を指摘。第3四半期に実質可処分所得がプラスに転じた一方で、国民の債務負担が拡大していることや、ロシア中央銀行が10月1日に導入した消費者への貸し付け制限措置(注)が消費者ローン融資額拡大の抑制材料となり、消費の減退につながっていることを挙げている。

連邦政府が9月30日に連邦下院に提出した2020~2022年の3カ年予算案によると、2019年通年の経済成長率は1.3%、2020年1.7%、2021年3.1%、2022年3.2%と予測されている。米大手格付け会社ムーディーズは8月22日に発表したレポート「グローバルマクロアウトルック2019-20」の中で、ロシアの2019年通年の成長率を1.2%、2020年を1.5%と予測している。

(注)平均月収に基づくローン返済金額の割合をロシア中銀が算出し、既借入額などを考慮の上、融資上限額を設定するもの。

(齋藤寛)

(ロシア)

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