TICAD7、フランス企業も第三国連携見据え積極参加

(フランス、アフリカ、日本)

パリ発

2019年10月08日

横浜で8月28~30日に開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)には、フランスからも第三国連携を見据えて積極的な参加があった。貿易投資庁(ビジネス・フランス)がジェトロ主催の「日本・アフリカ ビジネスEXPO」にブース出展したほか、フランスの建設大手バンシ・コンストラクション会長のジェローム・ステュブラー氏が「日本・アフリカビジネスフォーラム」の第三国連携セッションに登壇した(2019年9月2日記事参照)。

フランス企業は、アフリカで得意としてきたインフラ部門での中国企業との競争激化を受け、日本企業と提携して品質面で勝負しようとする狙いを持つとみられる。連携の事例には、2018年5月に発表された東芝エネルギーシステムズと、バンシ・コンストラクションとの協業が挙げられる。高い技術力とノウハウを持つ東芝エネルギーシステムズと、90年以上にわたりアフリカ32カ国で実績を上げてきたバンシ・コンストラクションは、アフリカにおける水力・地熱発電案件の開発で協業を進めている。ステュブラー会長は上述のフォーラムで、高い付加価値を持つ製品、共同出資の枠組み、ノウハウの共有をキーワードに、日本企業との提携を提唱していきたいとした。

TICAD7に参加したある日本の機械メーカーはジェトロのインタビュー(9月30日)に対し、実際のビジネスを進めるに当たり、経験の浅い日本企業としては第三国企業との連携が必須だとの理解がより深まり、フランス企業はフランス語圏である西アフリカへの進出を考える上で第1候補になると語った。

TICAD7に関するフランス各紙の報道は、勢いのある中国企業に対し、差別化を模索する日本といった構図が主だった。アフリカ専門誌「ジュヌ・アフリーク」は「日本・アフリカ:新しい活力?」を表紙タイトルに掲げ、全12ページにわたるTICAD特集を組んだ。また、経済紙「ラ・トリビューン」は、開発援助から民間の活力を利用したビジネス・パートナーシップへの移行と、日本の人材育成・技術移転のための研修生受け入れ政策を取り上げた。主要紙「ル・モンド」は、アフリカ諸国の対外借款を抑え、投資額の数字で競うのではなく、アフリカ諸国の人材育成に焦点を当て、高品質なインフラ設備とメンテナンスにより長期的視野に立った投資を志向する日本の政策を中国の政策と比較しながら紹介した。

(渡辺智子)

(フランス、アフリカ、日本)

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