TICAD7併催ビジネスフォーラム、第三国連携を議論

(アフリカ、日本)

中東アフリカ課

2019年09月02日

横浜で8月29日に開催された日本・アフリカビジネスフォーラム(2019年9月2日記事参照)のテーマ別パネルセッションIIでは「第三国連携」をテーマに、アフリカに進出した日本企業と第三国の企業がビジネスパートナーシップを結ぶことのメリットと重要性について議論が行われた。アフリカで長年の経験を有する大手企業8社のトップが集った。

冒頭、各パネリストから各企業の強みや連携実績などの紹介があった。英国の民間インフラ開発グループ(PIDG)の最高経営責任者(CEO)フィリップ・バラフ氏は、同社グループ会社のインフラCO・アフリカが開発したガーナの複合火力発電所の建設事業に住友商事が参画している例を挙げた。米国のエンデバー・エネルギーの創業者でCEOのショーン・ロング氏は、現地パートナーと良い協力関係にあることを強調し、アフリカ事業の失敗率は米国と比較して低いことにも言及した。トルコのトスヤル・ホールディング役員のシェリフ・トスヤル氏は、2012年に東洋鉄鋼と立ち上げた合弁会社のアルジェリア事業について紹介した。

インドのヒンドゥージャ・グループ会長(欧州担当)のプラカシュ・P・ヒンドゥージャ氏は、インド進出日系企業との連携可能性を示した。IPS西アフリカのモハマド・シイラCEOは西アフリカで培ってきた経験について語った。また、中国企業との競争関係が議題に上り、フランスのバンシ・コンストラクション会長のジェローム・ステュビュラー氏は、現在はアフリカでも質が求められる段階にあり、中国企業とも十分に競争できるはずだと主張した。

基本的価値観の一致が連携成功のカギ

三菱商事のアフリカブロック長を務める圡井田安広氏は、連携企業との相性だけでなく、両者の基本的・将来的な価値観が合致していることの必要性を訴えた。豊田通商エグゼクティブ・アドバイザーの服部孝氏は、フランス語圏アフリカで大きな影響力を持つフランスのアフリカ専門商社CFAOの買収に言及し、CFAOの企業価値を最大限に生かすため、「豊田通商化」せずに、ともに新しい体制を作っていった経験を語った。

モデレーターを務めたジェトロの平野克己理事は「日本の国際化を図るため、日本企業は他の国の力を借りるぐらいのオープンスタンスになる必要がある」と提言し、セッションを締めくくった。

写真 左から平野理事、服部氏、圡井田氏、ステュビュラー氏、バラフ氏、ロング氏、トスヤル氏、ヒンドゥージャ氏、シイラ氏(ジェトロ撮影)

左から平野理事、服部氏、圡井田氏、ステュビュラー氏、バラフ氏、ロング氏、トスヤル氏、ヒンドゥージャ氏、シイラ氏(ジェトロ撮影)

(山崎有馬)

(アフリカ、日本)

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