国内初5Gサービスの提供開始も、周波数帯域の不足が課題

(ベトナム)

ホーチミン発

2019年10月18日

通信大手で国防省傘下のベトテルは9月21日、ホーチミン市10区でベトナム国内初の第5世代移動通信システム(5G)サービスを提供し、IoT(モノのインターネット)インフラの運用を開始した。1,000カ所の基地局を利用して、数百万台のIoTデバイス(注1)を接続し、交通、電気、水道ほか公共サービスなどの社会的活動をサポートする。2020年には、5Gの商用化を計画している。9月21日付のベトナムニュースエージェンシーが報じた。

ホーチミン市人民委員会のグエン・ティエン・ニャン書記は「ホーチミン市はベトテルと連携してスマートシティ構築(2019年8月30日付地域・分析レポート参照)に取り組み、国家のデジタル移行戦略(注2)における中心的役割を担う」と述べた。また同書記長は、市人民委員会、情報通信省(MIC)、ベトテルに対し、特にハイテクパーク、クアンチュン・ソフトウエアパークや大学などで、5G適用を徐々に拡大するよう求めた。9月12日付のベトナムネットによると、MICはベトテルを含む移動体通信事業者3社に5G試用のライセンスを付与した。

5Gの提供が開始された一方、4Gの整備で課題が残る

ベトナム国内では4Gの周波数帯の整備が充分ではなく、現在の4Gサービスは、主に2G〔1,800メガヘルツ(MHz)〕および3G(2,100MHz)開発用に付与された帯域などを利用して、提供されている状況だ。ユーザーからは、4Gサービスの速度が遅いという不満が出ている。

ベトナムの周波数帯認可については、2010年7月1日の無線周波数法(42/2009/QH12)の施行前に、企業規模や需要に基づいて周波数帯が付与された。施行後は、通信速度など経済価値の高い帯域は、オークションなどに基づき付与されているが、2,600MHzの周波数帯(4Gに相当)はいまだ付与されていない。移動体通信事業者はいずれも、4G利用者を増やすために必要な周波数帯域が不足しているという共通認識だ。

(注1)ナローバンド(狭帯域)の無線を使用するIoT(NB-IoT)。

(注2)2012年首相決定32/2012/QD-TTg「2020年に向けた国家電気通信発展計画」、2015年首相決定「2016~2020年におけるITアプリケーションに関する政府機関における行動計画」など。

(小林亜紀)

(ベトナム)

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