EV、ハイブリッドカーへの税制優遇付与法案、年内成立の見込み

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月10日

フィリピン上院エネルギー委員会のガチャリアン委員長は10月7日、電気自動車(EV)やハイブリッドカーに対して税制優遇を付与する法案を2019年内に成立させる意向だと発表した。

ガチャリアン委員長によると、2018年1月に成立した税制改革法により、EVの物品税は免除され、ハイブリッドカーの物品税は半額になっているが、依然として化石燃料で走る自動車と比較して車両の価格が高く、EVやハイブリッドカーを選ぶ消費者は少ないという。5人の上院議員が、税制優遇法案を作成して国会に既に提出しており、11月までには審議が開始される見込みだ。

エネルギー省エネルギー利用管理局のパトリック・アキノ氏は、無料の充電ステーション設営や無料駐車場の建設、EVとハイブリッドカーに対するナンバーコーディング(注)の免除を行うと説明した。

一方で、財務省は法案に反対しており、同省の財政政策プランナーのシャーミン・オディクタ氏は地元メディアに対して、「さらなる税制優遇の付与は、財務省が現在取り組んでいるCITIRA法案(2019年9月19日記事参照)を中心とした包括的な税制改革の流れに反する」とコメントしている。

貿易産業省のアルダバ次官は5月、ハイブリッドカーをフィリピン国内で製造する予定の企業に対して、現在30%の関税を2年から3年かけて免除する法案を2019年内に成立させる意向を発表していた。

フィリピン政府は2018年1月、20年ぶりとなる税制改革法を施行し、2017年まで2%だった自動車にかかる物品税の最低税率を4%に引き上げた(2018年3月27日記事参照)。ハイブリッドカーに対しては通常の自動車に課す物品税の半分の税率の2%、純然たるEVは物品税が免除されている(表参照)。

表 自動車の物品税(2018年1月以降)

(注)交通渋滞の緩和のためにマニラ首都圏で実施されている車のナンバープレートの末尾番号により一定の曜日に走行を禁止する制度。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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