太陽光発電や省エネ機器導入に向けた取り組みを強化

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年09月11日

ウズベキスタン政府は、太陽光を中心とした再生可能エネルギー・省エネ発電の導入・普及を積極的に進める。シャフカト・ミルジヨエフ大統領は8月22日、大統領決定第4422号「再生可能エネルギーの発展と省エネ技術の導入、経済・社会分野のエネルギー効率の向上における加速的方策について」に署名。2022年までの省エネ目標を設定し、政府による補助金支給や政府内の責任所在の明確化などを決定した。

同決定では、既存の省エネ関連の法令、大統領決定による免税制度や公的施設・住居への省エネ設備の導入が十分に機能していないことを認めた上で、今回、政府組織・地方自治体の長に対し、省エネの推進に「個人的責任」を課すと明記した。2019~2022年の「複合プログラム」を設定し、目標を、a.現在、全発電量の10%を占める再生可能エネルギーの比率を2030年までに25%まで引き上げること、b.個人住宅への太陽光パネル(平均2キロワット)と太陽光温水器(平均容量200リットル)の設置を推進すること、c.個人・法人が使用する低効率のガスコンロの(省エネ型への)交換、d.指定施設(注1)への太陽光パネル・太陽光温水器の設置、などを列記している。

2020年1月からは政府予算を投入し、a.太陽光パネル、太陽光温水器、省エネ型ガスコンロの購入費用の30%を補填(ほてん)(注2)、b.銀行ローンで購入した場合の利息分補助(注3)、c.国際基準の導入、などを実施するほか、関連省庁には年1回の省エネ導入に関するフォローアップを義務付ける。また、個人住宅を除く全ての建物の計画・リノベーション・建設に際し省エネ評価を義務付けるほか、国有企業を中心に段階的にエネルギーマネージメントシステム(ISO 50001)の導入を義務付ける。2022年までの省エネの目標として、電力で24億キロワット時以上、天然ガスで24億立方メートル以上、石油製品で2万トン以上の達成を明記した。省エネ推進の主管官庁はエネルギー省となり、省内に新しく「エネルギー効率・省エネ部」が創設される。

ウズベキスタンでは、天然ガス・電力分野での改革が進む(2019年7月19日記事参照)。将来の天然ガス・電気の小売価格のさらなる値上げ(2019年8月5日記事参照)に対する国民の理解促進と省エネ意識の定着、天然ガス・電力の国内消費量の抑制・減少による輸出能力の増加(外貨獲得)に向け、政府は省エネ技術・機器の導入を急ぐ予定(注4)。

(注1)行政施設のほか、アミューズメント施設、レストラン、スーパーマーケット、市場、ガソリンスタンド、医療機関、空港、鉄道駅、ホテル、商業銀行、通信会社などが指定されている(同大統領決定添付資料3)。

(注2)補助限度額は太陽光パネルが300万スム(約3万3,000円、1スム=約0.011円)同温水器が150万スム、ガスコンロは20万スム。

(注3)個人向けで5億スムを超えないローンのうち、政策金利を超えた部分。ただし、8パーセントポイントを超えない。法人向けは50億スムを超えないローンで、同じく5パーセントポイントを超えない部分。

(注4)CIS地域では、ロシアが2010年前後に政府を挙げて省エネを推進した。この時期に、日系企業がガスタービンの販売に成功した事例などがある。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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