東カリマンタンへの首都移転、2024年中に開始

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年09月03日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は8月26日、大統領宮殿で記者会見し、新首都の最適地として、東カリマンタン州の主要都市バリクパパン近郊を選定し、国会議長に書簡を出したことを初めて明らかにした。首都移転の理由として、ジャワ島とジャワ島外の格差是正を述べる一方、移転後も引き続きジャカルタを経済活動の中心と位置付けるとした。首都移転にかかる費用は、466兆ルピア(約3兆4,484億円、1ルピア=約0.0074円)とした。現地報道によると、2024年中には政府機関の移転を開始する計画だ。

ジョコ大統領は会見で、政府による3年間の調査の結果、東カリマンタン州クタイカルタネガラ県と北プナジャムパスル県の両県にかかる地域が、最も望ましいと述べた(添付資料参照)。同地域を選定した理由として、地震、津波、火山噴火などによる自然災害のリスクが少ないこと、全国土の中央に位置すること、バリクパパン(注)やサマリンダといった地方都市近郊にあり、インフラが比較的整っていること、18万ヘクタールの利用可能な用地があることを挙げた。移転の理由としては、現在の首都ジャカルタに経済機能やインフラ上の負担が増加しており、ジャワ島に全人口の54%、GDPの58%が集中していることなどから、政府としてジャワ島とジャワ島外の格差是正を図る必要があることなどを説明した。現地報道によると、2020年にマスタープランを策定し、2024年中に政府機関の移転を開始する予定だ(表参照)。

表 首都移転に関する政府案(2019年8月時点)

(注)バリクパパンは、石油生産の中心地で、国営企業プルタミナや米国シェブロン、フランス・トタルなどの国際石油資本が進出するカリマンタン島の主要都市となっている。人口は約64万5,000人。

(山城武伸)

(インドネシア)

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