ギリシャ、資本規制を全面撤廃

(ギリシャ)

ミラノ発

2019年09月12日

ギリシャ議会で8月26日、資本規制の完全撤廃が可決された。新民主主義党(ND)率いる新政権の発足から(2019年7月10日記事参照)から約2カ月、ギリシャ経済は徐々に回復の兆しをみせている。

当時の急進左派連合(SYRIZA)政権によって、2015年に導入された現金の引き出しと資本移転への規制は、徐々に緩和が図られてきた。しかし、海外送金時に中央銀行からの事前承認が必要なことは、依然としてビジネスの障壁となり得る規制が残されていた。しかし、今回の議決をもって全面撤廃された。

これを受け、ギリシャ産業連盟 (SEV)は8月26日、「9月1日からの資本規制の完全解除が発表されたことにより、ギリシャ経済の信頼性と見通しに対する負担が取り除かれた」「(金融正常化という)前進(した環境)を生かして、必要な全ての開発・改革を行うことで、経済、社会全体の活性化のためにも預金者や投資家の信頼を獲得するきことができる」と表明。経済界に明るいニュースとして受け入れられた。

ギリシャ財務省の8月発表の財政統計によると、1月から7月までの基礎的財政収支(プライマリーバランス)は17億6,300万ユーロの黒字で、政府予測(8億300万ユーロの赤字)を大幅に上回る改善となっている。

税制面でも、負担緩和が図られている。7月31日付の官報によれば、所有する不動産に課される家屋税の削減や、負債返済の際の利子と支払い遅延による追加費用などに対する免除などが規定された。金融危機下に実施されてきた、緊縮政策による国民の財政負担も徐々に軽減されてきている。

(井上友里、山崎杏奈)

(ギリシャ)

ビジネス短信 cc83a9613e87e8dd