ジェトロ、米国輸出管理法令に関する報告書を発表

(米国)

ニューヨーク発

2019年09月03日

ジェトロは9月2日、米国の輸出管理法令の概要をとりまとめた報告書「厳格化する米国の輸出管理法令」を発表した。トランプ政権は2018年8月、2019年国防授権法の一部として、2018年輸出管理改革法(ECRA)を制定し、今後の輸出管理に関する基本方針を明らかにするとともに、従来の輸出管理規則(EAR)の内容の一部も更新されることとなっている。

ECRAでは、これまで輸出管理の対象に含まれていなかった「新興・基盤的技術」なども今後、輸出管理の対象となることが定められている。その詳しい定義に関しては、8月末時点では、米国商務省が中心となって策定している最中だが、バイオテクノロジー、人工知能(AI)・機械学習技術、ロボット工学なども対象になるとみられ、これら技術を活用して米国でビジネスを行っている日系企業に対する影響も想定される。

米国が輸出管理の対象を広げた背景には、技術の進歩に伴い、民生用と軍事用の技術の境目が曖昧になっている中、米国の安全保障にとり重要な技術の国外流出をより厳格に管理すべき、との問題意識が存在する。また、ECRAの趣旨として、「米国の安全保障のためには、科学、技術、工学、製造部門で米国がリーダーシップを維持することが必要」と規定しているように、他国の関係者が米国の知的財産を不正に入手することを防ぐ狙いもある。

米政府は今後、米国からの直接の輸出のみならず、ある国を介して第三国に輸出する「再輸出」に関しても、厳しく取り締まる方針を示している。また、米国内や第三国で外国人に対して「技術」やソースコードを開示する「みなし輸出・みなし再輸出」については、モノの管理とはまた異なる注意が必要だ。

ジェトロのレポートでは、今後強化されることが見込まれる輸出管理に備えるための参考資料となるよう、現在の輸出管理の具体的な運用実態について、過去の違反事例なども検証しながら、要点を解説している。

(磯部真一)

(米国)

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