200社上回る米靴メーカーや靴小売りが追加関税リスト4からの除外を要求

(米国)

ニューヨーク発

2019年09月11日

全米靴流通販売業協会(FDRA)は8月28日、トランプ大統領に対する公開書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、それぞれ9月1日と12月15日から課される対中追加関税リスト4A、4Bについて、履物を制裁対象から外すことを求めた。同協会は、5月13日に米国通商代表部(USTR)が対中追加関税リスト4を公表(2019年5月14日記事参照)した際にも同種の要求を含む書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表していたが、8月13日にUSTRが一部の履物に対する追加関税発動を12月15日に延期すると発表(2019年8月14日記事参照)したことを受け、あらためて対象外とすることを求める書簡を出した。

今回の書簡には、ナイキ、アディダス、フットロッカーなど大手靴メーカーや靴小売りなど200社以上が署名し、「追加関税賦課によるコスト増はほとんどすぐに消費者へ転嫁され、勤勉な米国民や家族はその被害から免れることができない」と訴えた。FDRAのマット・プリースト会長兼最高経営責任者(CEO)は、特定の履物に対する関税は既に67.5%を上回るなど非常に高く、「(トランプ政権が)一部の履物への追加関税発動の延期を決めたことは喜ばしいが、われわれはまだ満足していない」と述べた(FDRAプレスリリース8月13日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、「これ以上の追加関税の賦課は(最終的には)消費者の負担増に直結し、履物業界の負担」になるため、追加関税からの除外や延期を求めて、FDRAは戦い続けるとした。

FDRAの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国で販売される履物の99%は輸入品で、うち70%は中国からの輸入品という。こうした輸入履物に対する関税率は、平均すると11%だが、一部品目では既に48%や67.5%にも達し、2018年単年でみた消費者負担は70億ドルに上るとされる。こうした状況下で、15%の追加関税が発動されると、例えば人気のランニングシューズの価格は150ドルから193.75ドルまで跳ね上がるという。結果として、消費者負担は年間40億ドル追加される。

また、中国からベトナムなどの東南アジア諸国へ生産拠点を移管する動きもみられるが、前述のプリースト氏は「残念ながらベトナムなどに生産拠点を移管しても、現地でも労働コストや資本コストが上昇している」とし、貿易摩擦による混乱や不確実性による負担は、製品の供給元に関係なく「結局、米国の消費者が負担することになる」と指摘した(「ヤフー・ファイナンス」8月6日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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