8月インフレ率、過去3年で最も低い1.7%に

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月11日

フィリピン統計庁(PSA)は9月5日、8月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)を1.7%と発表し、2016年8月の1.3%、2016年9月の1.7%以来の低い値で、前月比で0.7ポイント減、前年同月比で4.7ポイント減となった。

PSAはインフレ緩和の主な要因として、CPIバスケットの32%を占める食品・非アルコール飲料のインフレ率が、0.6%と低い値を記録したことを挙げた。コメの輸入数量制限を撤廃した改正農業関税化法が、2019年3月に成立したことが影響したとみられる。そのほか、住宅・水道光熱費が1.8%、通信が0.3%、教育が4.6%、アルコール・たばこが10.1%、娯楽・文化が1.8%、家庭備品・設備が2.9%、保健が3.1%となった。

2019年1~8月の平均インフレ率は3.0%と、2019年に入って政府目標の2~4%に収まっていることから、中央銀行は政策金利の利下げや預金準備率の引き下げといった金融緩和政策をとりやすい環境にある。7月末の米国連邦準備理事会(FRB)による10年半ぶりの利下げをはじめ、世界各国の中央銀行が金融緩和を進める中、フィリピン中央銀行(BSP)も利下げに踏み切る意思は強い。BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は8月8日の政策金利決定会合において、政策金利である翌日物借入金利を年4.5%から4.25%に引き下げた。9月に入りディオクノ総裁は、年末までにさらに0.25ポイント引き下げる予定だと発表している。上半期の経済成長率が5.5%と政府目標(6~7%)を下回り(2019年8月16日記事参照)、BSPは5月から7月にかけて預金準備率を16%まで段階的に2%引き下げ、市中銀行による資金運用や企業の設備投資を後押ししている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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