エチオピアのアビィ首相、TICAD7を契機に初めて日韓を訪問

(エチオピア、日本、韓国)

アディスアベバ発

2019年09月09日

エチオピアのアビィ・アハメド首相は、8月28~30日開催の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)参加のために訪日した。訪日前に韓国も訪問し、アビィ首相にとって日韓訪問は2018年4月の就任後、初めて。

政府系英字紙「エチオピア・ヘラルド」(8月30日)によれば、アビィ首相はTICAD本会合で、民間部門の役割の重要性、地域統合、自国の改革努力について発言した。持続的な経済発展のためには民間企業の活躍余地を広げることが重要との認識を示し、アフリカ連合(AU)本部を抱える国として、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の設立を推進する役割を果たすと述べた。また、自国の投資環境にかかる制度変更についても紹介した(2019年8月20日記事参照)。

アビィ首相は来日中、安倍晋三首相をはじめ、ジェトロの佐々木伸彦理事長らと面談した。安倍首相とは8月29日に会談し、就任後の政治・経済改革を説明し、間もなく国内で発表予定の「内発的経済改革」に基づき、アフリカ大陸5指に入る経済大国となる目標を説明したという。加えて、農業、観光、情報技術、鉱業における日本のビジネス促進に向けた支援、エチオピアの青年層の日本での雇用機会の提供を働き掛けた。上記報道によれば、安倍首相は、アビィ首相が進める各種改革を支持したほか、エリトリアとの和平など地域の安定への貢献に触れ、ジンマ・チダ間の道路建設などを含めて、引き続きエチオピアを支援していくことを表明したとされる。

日本に先立ち、韓国を2日間訪問し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談した。エチオピアは、朝鮮戦争に約6,000人を派兵した過去を持ち、北朝鮮とも国交を持つ。韓国外務省によれば、文大統領は、朝鮮半島非核化に向けた努力へのアビィ首相の支持に感謝の意を表明し、両国の経済関係強化でも合意した。アビィ首相の訪問中、韓国とエチオピアは5件の協力協定を締結し、閣僚級委員会の設置、外交・公用旅券保持者のビザ免除、教育、環境分野の協力が示されている。エチオピア側報道(「エチオピア・ヘラルド」紙9月3日)では、工業製品の基準認証・標準化についての協力のほか、アダマ科学技術大学での研究施設建設に8,600万ドルの融資を受けることでも合意したとされる。

アビィ首相は訪韓中に、エチオピア・韓国ビジネスフォーラムに登壇したほか、現代自動車や鉄鋼メーカーPOSCO(ポスコ)などの企業代表者、韓国の政府開発援助実施機関である韓国国際協力団(KOICA)とも面談した。POSCOには、製鉄所建設を働き掛けたという(「エチオピア・ヘラルド」紙8月28日)。エチオピアは、KOICAがアフリカで優先国と位置付ける7カ国の1つとされる(注)。

(注)他の6カ国は、ガーナ、モザンビーク、ウガンダ、ルワンダ、セネガル、タンザニア。

(関隆夫)

(エチオピア、日本、韓国)

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