ジェトロ、「日EU・EPA解説書」改訂版を公開

(EU、日本)

欧州ロシアCIS課

2019年08月01日

ジェトロは日EU経済連携協定(EPA)の発効から半年となる8月1日、「日EU・EPA解説書:日EU・EPAの特恵関税の活用についてPDFファイル(0.0B)」の改訂版をウェブサイト上で公開した。解説書は、日EU・EPA特恵関税率の調べ方から、関税削減メリットを得るために必要な基本ルールや手続きを1冊にまとめたもので、発効前日の1月31日に公開した第1版を改訂した。

特恵税率の適用を受けるための原産地申告、インボイスの別添資料とすることも可

今回の改訂は大幅な内容変更を行うものではないが、協定発効後明らかになった点も踏まえて、EU側の運用に関する事項を一部新たに盛り込んだ。

EU向け輸出時にEPAを利用する際の手続き面で、発効後もEU側の運用が不明瞭だった点の1つが、特恵税率の適用を受けるための「原産地に関する申告」を輸入申告にどのように含めるかだ。協定上、「原産地に関する申告については、付属書3-Dに規定する申告文のうち一の言語によるものを用いて、仕入書その他の商業上の文書(原産品について特定することができるよう十分詳細に説明するもの)上に作成する」(協定第3.17条2)と規定される。

この「仕入書その他の商業上の文書上に作成する」の解釈について、「『原産地に関する申告』はインボイスその他の商業書類上で、他の文書への関連付けの記載があることにより当該商業書類の一部と見なせる場合には、別紙(例:企業レターヘッド付き用紙)での記載が可能」なことが、6月26日に開催された「日EU・EPA原産地規則および税関に関連事項に関する専門委員会」の第1回会合の採択文書で明らかになった(2019年7月30日記事参照)。インボイスそのものに申告文を書き込むことは、多数の品目を同じインボイス上に列記する場合など実質的に困難なケースもある一方、申告文を別紙とすることの可否については、欧州委員会が1月15日に公表したガイダンスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、「別紙上に輸出者が作成する原産地に関する申告は許可されない」と説明されていたこともあり、その解釈と運用に混乱が見られていた。今般、EPAの利用促進を目指した政府間協議の結果として、欧州委員会がEU側28加盟国での運用の統一を約束したことから、今後は申告文を別添とした場合でも、インボイスなどの一部であることを明記することで、問題なく特恵税率の適用を受けられることが期待される。解説書でもこの点を反映した。

改訂版解説書ではそのほか、「原産地に関する申告文」の英文の記載例などを新たに追加した。

(根津奈緒美)

(EU、日本)

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