中国企業、米国からの農産物の買い付けを進める

(中国、米国)

北京発

2019年08月02日

中国商務部の高峰報道官は8月1日、定例記者会見において、中国企業が米国からの農産物の買い付けを進めていることを明らかにした。

具体的には、企業(国有企業と民営企業を含む)が大豆、綿花、豚肉、コーリャンなどの新たな買い付けに向け、米国のサプライヤーに対し価格の問い合わせをしているとした。さらに、既に第1弾の農産品の買い付けが成約し、一部の企業が米国からの輸入農産物に課されている追加関税の除外申請を行ったことも明らかにした。高報道官は、国務院関税税則委員会がその申請に対する審査を行っており、さらなる進展があれば発表するとも言及した。

今回の発表に関して、対外経済貿易大学の中国WTO研究院の屠新泉院長は「最終的な合意に達する前に中国が米国からの買い付けを行うことは、交渉において良い雰囲気をつくり出す」と評価した(「北京商報」8月1日)。

米中両国は、7月30~31日に上海において閣僚級の貿易協議を行っていた。7月31日の新華社の関連報道では、両国が中国の国内需要に基づき、米国産の農産品の購入を増加させること、それに対して米国は購入のための良好な条件を創出することについて議論を行ったと発表されていた(2019年8月1日記事参照)。

高報道官は、同協議においては、主に「交渉が中断した原因について議論し、重要な経済貿易問題についての認識をクリアにする」こと、「今後の交渉の原則、方法および関連スケジュールを明確にする」こと、という2つのテーマについて議論を行ったとした上で、次回の閣僚級会談が9月に予定されており、それに向けて8月に両国は事務レベルで集中的に交渉を進めるとした。

しかし、トランプ大統領は8月1日に自身のツイッターで、3,000億ドル相当の中国原産の輸入品に対して、9月1日から10%の追加関税を発動すると投稿した。その中で、中国が米国産農産品の購入を進めていないとの不満を表明しており、双方の発表内容に不一致がみられる。今後の交渉が予定どおりに進められるか、動向が注目される(2019年8月2日記事参照)。

(藤原智生)

(中国、米国)

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