上半期は1兆1,709億元の減税・費用削減を実現

(中国)

北京発

2019年08月06日

国家税務総局は7月24日、2019年上半期の減税・費用削減の総額が1兆1,709億元(約18兆7,344億円、1元=約16円)に達したと発表した。うち、減税総額は1兆387億元だった。税種別にみると、増値税改革による減税額は4,369億元、個人所得税改革によるものは3,077億元(1人当たり平均の減税額は1,340.5元)、小規模・零細企業を対象とした優遇政策によるものは1,164億元となり、増値税改革の実施による減税の効果が目立った(表参照)。なお、2019年の政府活動報告では、増値税率引き下げなどによって約2兆元分の減税・費用削減を実現するとしていた(2019年3月15日記事参照)。

表 税種別の減税額

2019年4月1日から実施された増値税率の引き下げに伴う減税額は、3カ月(4~6月)で3,185億元となっている。業種別にみると、製造業や卸売・小売業など税率が16.0%から13.0%へ下がった業種での減税効果が大きく、これらの業種の企業の減税額が全体の88.0%を占めた。また、建築業、交通・運輸業の税率は10.0%から9.0%へ軽減され、それぞれ101億元、20億5,000万元の減税が実現された。郵便、電信、現代サービス業および生活サービス業の減税額は合計で204億元だった。

国家税務総局収入計画計算司の蔡自力司長は「短期的にみると、減税は政府税収の減少になる。大規模減税策が次々と実施されたことにより、上半期の税収の増加率は顕著に鈍化した」と指摘した。上半期の全国税務機関・組織の税収額は8兆2,754億元(輸出増値税の還付分を控除済み)に上り、前年同期比1.4%増加したが、増加率は前年同期を13.9ポイント下回った。

また、養老保険料率の引き下げ、失業・労災保険料率の段階的引き下げ政策の実施期限を延長することなど、社会保険における費用削減措置も5月1日から実施された。人力資源・社会保障部は、これらの措置の実施により、2019年上半期における都市従業員の養老保険、失業保険、労災保険による費用削減の総額は1,288億元となったと発表した。同部は、今後の取り組みの重点は社会保険制度の完備や社会保険管理サービスの強化、社会保険料率引き下げ政策を徹底的に実施することに置くとしている。

(趙薇)

(中国)

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