上半期の対米輸入、大豆や綿などが大幅減、追加関税第4弾発動の引き金に

(中国、米国)

中国北アジア課

2019年08月02日

2019年上半期の中国の米国からの輸入額は、前年同期比28.5%減の589億9,014万ドルとなった(図参照)。減少幅は、2018年下半期(20.8%減)から7.7ポイント拡大し、中国の輸入額上位20カ国で最も大きな落ち込みとなった。これにより、中国の輸入額に占める米国のシェアは、前年同期(8.2%)から2.2ポイント低下の6.0%となり、順位も4位から5位に後退した。

なお、四半期べースでみると、第2四半期(4~6月)は前年同期比27.8%減の304億8,545万ドルで、減少幅は第1四半期(29.3%減)とほぼ横ばいだった。

図 中国の対米輸入額と伸び率(前年同期比)の推移

輸入品目の上位15品目(HSコード6桁ベース)をみると、追加関税措置の対象となっていない集積回路やターボジェットなどの品目は、おおむね増加した。

現在も追加関税措置が継続されている大豆(前年同期比64.6%減)、実綿および繰綿(37.3%減)、化学木材パルプ(30.9%減)はそれぞれ大きく落ち込んだ。米国からの輸入減を補うように、大豆はアルゼンチンやカナダから、実綿および繰綿はブラジル、オーストラリア、インドからの輸入が激増している(添付資料参照)。

また、自動車については、2019年1月から追加関税措置の適用除外品目となっている。これを受けて、電気自動車の輸入額は年明けから急速に回復し、2019年上半期は前年同期比46.7%増となった。他方、ガソリン自動車(HS870323に属するもの)は年明け以降も低迷が続き、6月時点でも追加関税賦課前の水準に回復しておらず、上半期では40.9%減と落ち込みが目立った。

大豆や綿などの農産品に関して、中国メディアは「6月29日に大阪で行われた米中首脳会談の後、中国企業が米国産の農産品の買い付けに動いており、既に数百万トンの大豆が中国に向けて輸送中だ」と報じている(「新華社」7月28日)。また、7月31日に上海で行われた米中の閣僚級貿易協議の終了後にも、「(協議において)中国側は国内需要を踏まえて米国の農産品の調達を増やし、米国側はその調達のための良好な条件をつくり出すことを議論した」と伝えた(「新華社」7月31日)。

一方、トランプ米大統領は協議を経た8月1日、自身のツイッターで、追加関税対象リスト第4弾に関し、9月1日から10%の関税率を発動すると投稿した(2019年8月2日記事参照)。これにより、残るほぼ全ての中国製品(約3,000億ドル分)が対象となる。トランプ大統領は発動の理由として、中国が3カ月前に妥結しかけた閣僚級協議の再交渉を決めたと指摘したほか、同意していた米国産農産品の購入を進めていないと不満を表した。

今後の中国側の対応や、米中間でのさらなる貿易摩擦が世界経済に与える影響などが注目される。

(小林伶)

(中国、米国)

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