バイオセキュリティーに関わる輸入課徴金、導入延期の見込み

(オーストラリア)

シドニー発

2019年08月20日

オーストラリア連邦農業・水資源省によるバイオセキュリティーに関わる輸入課徴金制度の導入は、9月以降に延期される見込みだ(2018年12月11日記事参照)。オーストラリアへの輸入量の増加と輸入ルートの複雑化により、バイオセキュリティーのリスクが高まっている。農業・水資源省は2018年5月、外来の有害生物や病気の早期発見と国内侵入を防止するために、より優れたバイオセキュリティーシステムの構築が必要とし、その資金源として2019年7月1日から海上貨物、船舶への輸入課徴金を導入する計画を発表していた。

しかし、海運業など関係業界の強い反発を受け、リトル・プラウド農業・水資源相は4月、物流・船舶・農業界などの代表9人からなる運営委員会を設置し、輸入課徴金制度のさらなる見直しを開始した。同時期に発表された2019/2020年度予算案では、導入時期を9月に延期している。

同省はバイオセキュリティーシステムの強化により、6兆オーストラリア・ドル(約432兆円、豪ドル、1豪ドル=約72円)に相当するオーストラリア固有の環境を維持し、630億豪ドル規模の農業、380億豪ドル規模の観光業を守ることができるとし、同制度導入の重要性を訴えているが、2月に議会に提出予定だった輸入課徴金にかかる法案はまだ提出されていない。

オーストラリアの主要経済紙は「導入時期はさらに先送りされる見込み。連邦政府は9月からの導入を見越し、2019/2020年度から3年間で3億500万豪ドルの税収を計上しているが、この執行も危ぶまれている」と報じた。

(長島麻子)

(オーストラリア)

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