香港経済、抗議活動などの影響でマイナス成長も

(香港)

香港発

2019年08月09日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)の陳茂波(ポール・チャン)財政長官は8月4日、香港のGDP成長率がマイナスとなる可能性を自身のブログで示唆した。

陳財政長官は、2019年第2四半期(4~6月)のGDP成長率の見込み値が前年同期比で0.6%と低調だったことや、貿易摩擦などをめぐる先行き不透明な米中の対立状況、低迷する香港の小売売上高の状況(注)など、多くの懸念材料が存在する香港経済の現状に言及した。その上で、6月から香港で継続的に発生している「逃亡犯条例」改正案などをめぐる抗議活動が市民生活と消費意欲に悪影響を与え、香港の国際的なイメージを低下させ、海外からのビジネス・観光目的の来訪や香港への投資意欲に影響を及ぼしていると説明した。

陳財政長官は、第2四半期の季節調整済みの前期比成長率(マイナス0.3%)に触れた上で、「香港の2019年第3四半期(7~9月)もマイナス成長となった場合、香港経済が減速するリスクが高まる」と警鐘を鳴らし、「香港政府は必要な経済対策をタイムリーに講じるが、難局を乗り越えるには香港市民の協力が欠かせない」と世論に訴えた。

(注)6月の小売売上高は、前年同月比6.7%減と、5カ月連続でマイナスとなった(2019年8月8日記事参照)。

(吉田和仁)

(香港)

ビジネス短信 9a49a96d3327147f