ブラジル経済省、米国と通商協定に向けた協議開始で合意

(ブラジル、米国)

サンパウロ発

2019年08月05日

ブラジルのパウロ・ゲデス経済相は7月31日、ブラジルを訪問中のウィルバー・ロス米国商務長官と会談し、米国との通商協定に向けた協議を開始することで合意したと発表した。マルコス・トロイーホ経済省貿易・国際担当次官は「ブラジルはメルコスールという関税同盟を構成しているため、物品の関税低減を含む通商協定はアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイを含めた(メルコスール)4カ国で交渉、締結する必要がある」としている。しかし、物品の関税低減を含まない協定、すなわち、貿易円滑化や知的財産、制度的な集約、電話通信といった分野に限定し、ブラジルと米国で2国間協定を締結する可能性もあるとし、2通り検討する方針を示した(7月31日付経済省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ブラジルの産業界は以前から通商協定の相手国として米国を重視している(2018年12月17日記事参照)。

ジャイール・ボルソナーロ政権の外交政策は対米関係重視を明確にしており、ボルソナーロ大統領は現在空席の駐米大使に、息子であるエドゥアルド・ボルソナーロ下院議員を指名する考えを表明している。議会承認が必要なため、同氏の駐米大使就任の実現可能性は不透明だが、もし実現した場合、米国との通商協定に向けた協議に拍車がかかる可能性がある。現時点でブラジルはメルコスールとして、6月末に政治合意したEUとの自由貿易協定(FTA)に加えて、欧州自由貿易連合(EFTA)、カナダ、韓国、シンガポールと通商協定を交渉中だ。日本に関しては、経団連とブラジル全国工業連盟(CNI)による第22回日本ブラジル経済合同委員会が7月29、30日にサンパウロ市で開催され、日メルコスール経済連携協定(EPA)の早期交渉開始を求める共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが採択された。

(二宮康史)

(ブラジル、米国)

ビジネス短信 6fa7f50a81236e43