全国工業連盟、次期政権で対米通商交渉を期待

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年12月17日

ブラジル全国工業連盟(CNI)は、12月4日に発表した「ブラジルの輸出競争力の課題2018年版」の中で、通商協定を締結する相手国として米国が最も優先順位が高いとした。国内の輸出事業者589社に対して2017年10月~2018年3月にアンケート調査した結果を分析したもの。それによれば、通商協定の相手国として最も魅力的な国を質問した項目で、米国が22%と最も高かった。メキシコが8%、中国が6%と続いている(注)。

米国向け貿易額を商工サービス省統計の2018年1~11月実績でみると、輸出入ともに国・地域別で中国に次ぐ2位となっている。輸出額は262億ドル、輸入額は263億ドルで、ブラジル側に若干の赤字があるものの、おおむね均衡した状況が見て取れる。HSコード4桁ベースで上位3品目をみると、輸出では「石油および歴青油(原油に限る)」(全体の11.1%)、「鉄または非合金鋼の半製品」(7.5%)、「ターボジェット、ターボプロペラその他のガスタービン」(7.1%)の順、輸入では「石油および歴青油(原油を除く)、これらの調製品(石油または歴青油の含有量が全重量の70%以上、かつ、石油または歴青油が基礎的な成分を成すものに限るものとし、他の項に該当するものを除く)ならびに廃油」(23.5%)、「石油ガスその他のガス状炭化水素」(4.4%)、「石炭および練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもの」(4.0%)と続く。

CNIでは、2019年1月に発足するボルソナーロ政権で米国との経済関係が重視されるとみている。次期政権の外相には、トランプ政権の考え方に理解が深いとされる外務省米国・カナダ・米州部のエルネスト・アラウージョ局長が指名された。ジェトロがインタビューをしたCNI関係者は、米国は航空機などの工業製品の輸出先として重要であり、ブラジルは米国の一般特恵関税制度(GSP)の適用を外れる可能性もあることから、米国との通商交渉を望む声は工業界で強いとしている。

(注)調査報告書はウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で閲覧可能(ポルトガル語のみ)。本文で言及した該当箇所は33ページに示されている。

(二宮康史)

(ブラジル)

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