政府と最大野党が和平合意、10月15日の総選挙に向けた動きか

(モザンビーク)

マプト発

2019年08月13日

与党のモザンビーク解放戦線(FRELIMO)と、最大野党のモザンビーク民族抵抗運動(RENAMO)は8月1日、停戦協定に署名した。署名は中部ソファラ州ゴロンゴザで、FRELIMO党首のフィリペ・ニュシ大統領と、RENAMOのオスフォ・モマデ党首の間で取り交わされた。続いて8月6日には首都マプトで、和平合意に署名した。ムーサ・ファキ・アフリカ連合(AU)委員長、EUのフェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表(欧州委員会副委員長兼務)、シリル・ラマポーザ南アフリカ共和国大統領らが立ち会った。

2017年8月に、ニュシ大統領と故アフォンソ・ドラカマ前RENAMO党首との間で、和平交渉を進めるための基本合意に至った。その後、ドラカマ氏の後任のRENAMO党首となったモマデ氏とニュシ大統領との間で交渉が継続していた(2019年1月24日記事参照)。2018年8月にはRENAMO軍の解散と政府軍への再統合への合意が発表され(2018年8月17日記事参照)、RENAMOは2019年7月に残存ゲリラ兵の非武装化に向けた活動を開始した。また、RENAMOがかねて要求してきた地方分権化の推進に向けた州財政法案や、逮捕・投獄中のRENAMO関係者を対象とした期限付きの恩赦法が7月に国会で承認された。10月15日に控えた5年に1度の全国統一・大統領選挙(総選挙)を前に、政府・RENAMO双方に歩み寄りがみられていた。

2014年の前回総選挙前夜にも、アルマンド・ゲブーザ前大統領(FRELIMO)とドラカマ氏との間で停戦合意が結ばれた。しかし選挙後、RENAMOは選挙結果を操作する不正があったとして、全国選挙委員会(CNE)に選挙の無効化を求め、その訴えが退けられた後に武力活動を再開させた経緯がある。

大統領任期2期目を目指すニュシ大統領は、選挙前に大きな実績をつくった格好になったが、選挙後も和平合意が保たれるか注意が必要といえる。

(松永篤)

(モザンビーク)

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