米国石油開発企業オキシデンタル、同業アナダルコの買収を完了

(米国)

ヒューストン発

2019年08月09日

米国石油準メジャーのオキシデンタル・ペトロリアムは8月8日、米国独立系石油開発企業のアナダルコの買収を完了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

当初は、4月12日に石油メジャーのシェブロンとアナダルコとの間で、500億ドル(取得株式総額330億ドルで、アナダルコの1株を65ドル、うち25%の16.25ドルを現金、75%をシェブロン株と交換で取得する条件)の買収契約が結ばれていた。(2019年4月16日記事参照

しかし、4月24日にオキシデンタルが570億ドル(取得株式総額380億ドルで、アナダルコの1株を76ドル、うち50%の38ドルを現金、50%をオキシデンタルの株式と交換で取得する条件)という、アナダルコの株主により良い条件での買収を提案したことで、今回の買収に向けた第一歩が踏み出された。

オキシデンタルは4月30日、買収の資金力強化のため、ウォーレン・バフェット氏率いる持ち株会社バークシャー・ハサウェイから、アナダルコ買収資金の一部100億ドルの調達(ワラント付き優先株発行)に合意。さらに5月5日には、オキシデンタルはアナダルコの1株当たり38ドルを現金で支払うとの当初提案について、59ドルと条件の引き上げを提示したほか、アナダルコがアフリカに保有する海洋ガス開発に関連する資産をフランス石油メジャーのトタルに売却することで合意したと発表した。(2019年5月10日記事参照

それを受けて5月6日、アナダルコの取締役会はオキシデンタルの提案の方が優れていると認め、シェブロンに対して条件の対案提示を求めたことを発表した。シェブロンは対案提示期限の5月10日を待たずに9日、買収条件の引き上げは行わず、アナダルコから先の買収契約に対する違約金の10億ドルを受け取ると発表した。

オキシデンタルとアナダルコの双方の株主からは、買収そのものや買収契約に至るまでの手続きに対する疑問や不満が上がったが、両社はその説得に努めてきたことが報道からうかがえる。8月8日午前にはアナダルコの臨時株主総会が行われ、買収について株主による投票の結果、99%以上が賛成票を投じた。

一方、オキシデンタルの株主については、影響力が強い投資家のカール・アイカーン氏が、アイカーン・グループでオキシデンタルの発行済み株式の4.4%を5月以降に取得し、オキシデンタル取締役会のメンバーのうち4人を同グループの関係者に置き換えるよう要求している。これに対して、7月22日にオキシデンタルのビッキー・ホラブ社長兼最高経営責任者(CEO)は同社の全株主に宛て、アナダルコ買収に関するアイカーン氏の理解不足を指摘し、同氏の提案を慎重に検討するよう求める書簡を発出している。

なお、オキシデンタルの株価は、4月前半で68ドル台だったが、8月8日までに47ドル台に下がっている。今回の買収は、エネルギー業界が大規模かつ複雑だという要素があるとはいえ、シェブロンによる最初の発表から約4カ月で完了した。

写真 アナダルコ本社ビル(テキサス州ヒューストン近郊)(ジェトロ撮影)

アナダルコ本社ビル(テキサス州ヒューストン近郊)(ジェトロ撮影)

(中川直人)

(米国)

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