上半期の投資、製造業が牽引も規模は縮小

(ベトナム)

ハノイ発

2019年08月08日

ベトナム外国投資庁によると、2019年上半期の対内直接投資(認可ベース、6月20日現在)は、新規・拡張の合計で2,351件(前年同期比25.5%増)となり、過去最高を記録した前年を上回る水準で推移している。認可額は103億4,719万ドル(36.3%減)と、大型案件が少なかったことが影響し、前年同期を下回った。

業種別にみると、製造業の好調な状況が続いており、1,001件(23.3%増)、80億6,293万ドル(16.5%増)と、件数・認可額ともに突出している(表1参照)。小売り・卸売りの投資は514件(45.2%増)と増加したものの、認可額は3億3,240万ドル(70.3%減)で、前年同期を大きく下回った。安定した経済成長が続くベトナム市場への関心は高く、投資案件数は増えているが、1案件当たりの投資額は小さくなっているものと推察される。

表1 業種別の対内直接投資(新規・拡張、認可ベース)(2019年上半期)

国・地域別では、中国が362件(83.3%増)、18億7,686万ドル(3.6倍)で、認可額で首位となった(表2参照)。製造業における新規投資が急増しており、新規認可額上位10案件のうち、中国の製造業が4件を占めた(2019年6月13日記事参照)。ハノイ近郊にある地場の工業団地では、6月と7月に中国からの問い合わせが殺到し、わずか1カ月ほどでレンタル工場7棟を全て完売した。同工業団地の担当者は、米中貿易摩擦の影響で、中国企業のベトナムへの関心が高まっているという。

表2 国・地域別の対内直接投資(新規・拡張、認可ベース)(2019年上半期) 

韓国と日本は、前年同期に見られたような新規の大型案件がなかったため、認可額では前年同期を大きく下回ったが、件数では韓国が698件(6.7%増)で首位、日本が327件(11.6%増)で中国に次ぐ3位だった。拡張額では日本が6億79万ドルで首位、韓国が5億2,709万ドルで2位と、引き続き存在感を示している。

省・市別の認可額では、ビンズオン省が10億1,258万ドル(52.1%増)で首位だった(表3参照)。件数では、ホーチミン市が710件(20.1%増)で首位、ハノイ市が482件(50.2%増)で2位となった。

表3 省・市別の対内直接投資(新規・拡張、認可ベース)(2019年上半期)  

(庄浩充)

(ベトナム)

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