ベネズエラからの移民急増でチリの失業率上昇

(チリ、ベネズエラ)

サンティアゴ発

2019年08月08日

チリ統計局(INE)が7月31日に発表した2019年4~6月の雇用統計によると、サンティアゴ市を中心とする首都圏州の失業率は7.6%で、前年同期に比べ0.3ポイント上昇した。また、7月25日に発表されたチリ大学(Universidad de Chile)による、首都圏州中心部の34区を対象とした「サンティアゴの就業、失業調査」では、6月単月の失業率は8.4%と、前年同期と比べ1.4ポイント上昇している。その一因として、移民の増加が挙げられる。

INEが内務省外国人移民課(DEM)と2月14日に合同で行った発表によると、2018年12月31日時点でチリに居住する外国人は、全人口の6.6%となる125万1,225人で、そのうち、ベネズエラ人は28万8,233人と在チリ外国人全体の23%を占めた(図1参照)。2017年にINEが行った国勢調査では、ペルー人が18万7,756人(シェア25.2%)と最も多く、続いてコロンビア人10万5,445人(14.1%)、ベネズエラ人8万3,045人(11.1%)の順だったが、1年余りでベネズエラ人の人口が約3.5倍に増加し最多となった。チリ政府が行った移民対策の新たなビザ制度の影響もあり(2018年5月23日記事参照)、2018年にベネズエラ人に発給されたビザ件数は合計14万5,449件で、前年比約2倍に増加している(図2参照)。

図1 出生国別の在チリ外国人数(2018年12月31日時点)
図2 ベネズエラ人に付与されたビザ数の推移

7月31日付の「エル・メルクリオ」紙によると、ピニェラ大統領は「この4~5年のチリの移民増加の副産物として、チリの労働人口は約100万人増加した」と発言する一方で、その影響から国内における雇用創出の必要性が以前よりもはるかに高まっており、移民の国内流入に対する何らかの規制の導入について、肯定的な見解を示した。

(岡戸美澪)

(チリ、ベネズエラ)

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