中国の対米輸入(2019年1~5月)は追加関税の影響大きく、データで見る米中貿易摩擦

(中国、米国)

中国北アジア課

2019年07月10日

中国の2019年1~5月の主要国・地域別輸入は、前年同期比1.4%減だった(表1参照)。上位4カ国・地域では、米中貿易摩擦の影響で米国の減少幅が28.0%減と最も大きかった。表中には示さないものの、米国の減少幅は上位20カ国・地域の中でも最大だった。ただし、2019年第1四半期(1~3月)が前年同期比29.3%減だった(2019年6月7日記事参照)ため、減少幅はやや縮小傾向にある。

表1 中国の主要国・地域別輸入(上位4カ国)

中国の対米輸入(2019年1~5月)28.0%減の詳細について解説する。

表2は、中国の対米輸入(2019年1~5月)を、第1~第3弾の制裁別にまとめたものだ。それによると、第1弾(2018年7月6日開始)が前年同期比64.1%減、第2弾(2018年8月23日開始)が56.9%減、第3弾(2018年9月24日開始)が19.5%減と、実施開始時期が早いほど、減少幅が大きいことが分かった。寄与度では、第1弾がマイナス9.3ポイント、第2弾がマイナス4.8ポイント、第3弾がマイナス7.1ポイントとなり、第1弾と第3弾が高い。

適用除外品目は、自動車を中心に2019年1月から追加関税率はゼロとなっているが、前年同期比27.7%減と、現時点では輸入増にはつながっていない。

追加関税対象外の品目が輸入全体に占める割合は39.3%(2019年1~5月)と最大で、減少幅は14.4%減だった。

表2 中国の制裁別の対米輸入

表3は対米輸入の上位10品目をHSコード6桁ベースで示したものだ。追加関税対象品目では、大豆(120190)が2品目該当(第1弾、HSコード8桁ベース)しており、66.9%減となった。1500~3000ccの乗用車(870323)は2019年1月以降に追加関税の対象外となったものの、42.8%減と大幅な落ち込みが続いている。一方で、電気自動車(870380)は適用除外の効果で56.0%増となった。

表3 中国の対米輸入の上位10品目

米国による追加関税賦課第4弾(約3,000億ドル相当)は当面の延期が表明されたが、双方による第1~第3弾までの追加関税措置は現在も続いたままの状態だ。中国の対米輸入に与える影響も甚大で、6月以降の貿易統計を注視する必要がある。

(水谷俊博)

(中国、米国)

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