サンフランシスコ市などで最低賃金15ドル超えに

(米国)

サンフランシスコ発

2019年07月12日

サンフランシスコ・ベイエリアの複数都市で7月、最低賃金が引き上げられ、サンフランシスコ(注1)とバークレーで1日に時給15.59ドル、エメリービルでは9日、さらに高い16.30ドルに設定された。

マウンテンビュー、サニーベールでは1月1日から15.65ドルに引き上げられており、最低賃金が15ドルを超える都市はサンフランシスコ・ベイエリア内で5都市になった。最低賃金を今回15ドル以上に設定した各都市は、今後も各地の消費者物価指数(CPI)の上昇に合わせて最低賃金を調整していく。

なお、ロサンゼルスなどでも7月1日から最低賃金が引き上げられている(2019年6月28日記事参照)。

一般的に、最低賃金の引き上げは、広がる賃金格差を縮めることを目的として行われるが、スイスのチューリヒ大学が行った米国の最低賃金と小売価格に関する研究結果(注2)によると、最低賃金上昇により食料品や日用品など生活必需品価格が上昇し、最も圧迫を受けることになるのが最低賃金で働く労働者だという。家計支出に占める生活必需品の支出比率は平均11%で、最低所得層では14~15%、最高所得層では9%となり、世帯収入が低いほど比率が高くなる。また、最低賃金の引き上げは何年かにわたって予定される制度上、事前に賃金の上昇を知ることができるため、食料品店は最低賃金の引き上げが実施される前から商品の値上げを行う。こうしたことから、最低賃金が引き上げられても実際に受ける恩恵は弱まるという。

(注1)連邦政府や地方自治体のプログラムとして18歳以下や55歳以上を雇用する場合は7月1日から最低賃金13.79ドルが適用される。

(注2)2017年11月発表。2001~2012年の米国における166件の最低賃金上昇(地方自治体・全米)と41州に所在する食料品スーパー2,000店の商品価格への影響を調査。

(田中三保子)

(米国)

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