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三菱電機は強化学習第一人者との連携や大学の柔軟性でエドモントンを選択、カナダのAI分野

(カナダ)

トロント発

2019年07月05日

ジェトロは6月11日にトロントで開催した「カナダIT投資・イノベーションセミナー」のパネルディスカッションの中で、アルバータ州エドモントンに研究拠点を開設した三菱電機先端技術綜合研究所の主任研究員、三輪祥太郎氏に拠点開設の経緯について聞いた。

(問)なぜカナダに拠点を開いたのか。

(答)当社としては、北米の研究機関と連携して、人工知能(AI)研究を行いたいと考えていた。米国の大学との共同研究の場合、一般的には研究費用が非常に高額だったり、著名な研究者は既に他社と契約していて関係を持つのが難しく、当社として望ましいかたちの契約を結ぶのは容易ではなかった。また、成果としての特許についても、米国では大学側の権利の主張が強く、それに対して、カナダでは交渉の余地があった。

一般的には米国の大学が注目されるが、実際、カナダの大学は優秀なAI研究者を有している。国籍によっては米国での活動ができない学生や研究者にとっても、カナダは滞在許可が得やすく、また学費も安いため、良い人材が集まっている。

アルバータ州エドモントンを選んだ理由は、十数年以上前、当社で強化学習の研究が行われていた際、アルバータ大学のリチャード・サットン教授(注)と親交があったことをきっかけに、強化学習の最前線で活動されるサットン教授と連携するかたちでのAI研究を検討したことによる。

(問)カナダで共同研究するに当たって、日本との違いはあるか。

(答)こちらの学生は、タスクを与えなくても自分で課題を見つけて取り組むなど、モチベーションや能力が高いと感じる。大学はAI研究のスピードの速さを認識しており、大学の組織や運営を短期スパンで改善し続け、研究活動の質を高める努力を続けている。日本では、1年間の研究計画を作成し、計画どおりに進めるべきと考えられているが、AI分野では、1年間同じ考えではやっていけない。カナダでは、生じたズレを修正しながら進めていく。これも日本と異なる点だ。他の大学や研究機関との連携も活発で、多くの優秀な研究者と連携する機会がある。

(問)カナダで共同研究をうまく進めるための秘訣(ひけつ)は何か。

(答)現地でのコミュニケーションは非常に取りやすく、個人の研究者レベルでの交流は容易で、多くの日本企業が成果を出しているのではと思う。

ただ、組織間の話となると、相手(カナダの企業、研究機関)が独立した組織であることを理解して、一方的な要求をするのではなく、議論を通して双方のメリットとなるゴールを見つけるという取り組みが必要だと思う。その点で、良い研究者を派遣するだけでなく、きちんと交渉できる人、マネジメントできる人を用意するというのは、良い協業を実現する上で非常に重要だと思う。

写真 カナダの研究環境の魅力を語る三輪氏(TORJA提供)

カナダの研究環境の魅力を語る三輪氏(TORJA提供)

(注)「強化学習の父」として知られる。アルバータ・マシン・インテリジェンス研究所(AMii)に在籍(2018年6月11日付地域・分析レポート参照)。

(江崎江里子)

(カナダ)

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