米国の対中追加関税リスト1の品目別適用除外申請、日系企業の承認は73件にとどまる

(米国、中国)

米州課

2019年07月18日

米国の1974年通商法301条に基づく対中追加関税賦課に関し、中国原産の輸入品に関するリスト1(対中輸入額340億ドル相当のHTSコード上位8桁ベース818品目PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))(2018年7月9日記事参照)を対象にした品目別適用除外(注1)の申請は、1,208社がHTSコード10桁ベースで811品目に対して行い、合計1万826件に達した(2019年7月16日記事参照)。

申請の多い品目をみると、点火用配線セット(HTS8544.30.0000)が計587件で最多だが、当該HTSコードは承認されていないため、7月12日時点で否認件数は578件となり、承認件数は0件で、審査中は9件となっている(表参照)。当該品目の申請企業をみると、中国大手自動車電子部品メーカーの天海汽車電子集団が252件、米系のスコーシュ・インダストリーズが111件の申請を行ったが(注2)、両社の全ての申請は否認されている。

表 対中追加関税リスト1の適用除外申請件数上位品目の審査状況(2019年7月12日時点)

次に申請が多かった品目はポンプ部品(HTS8413.91.9080)で、当該HTSコードについては、鋳鉄製羽根車や外径73~74ミリの遠心ポンプ用樹脂製の羽根車のみが承認されているため、474件の申請のうち153件が承認され、296件は否認されている。米系のプライス・パンプは108件の申請、米系A.W.チェスタートンは93件の申請を行い、いずれも全て否認されたが、同じく米系のスペック・パンプス・プール・プロダクツは90件全ての申請が承認されるなど、企業の申請製品によって審査結果が大きく異なっている。他方、ゴム・プラスチック金型(HTS8480.71.8045)やラジアル玉軸受(HTS8482.10.5048)は、当該HTSコードの全製品が承認されている。

日系企業も約90社が900件超の申請を行い、承認が確認できたのは7月12日時点では73件にとどまり、800件超が否認されている。承認件数が多い企業は、マブチモーターがDCモーターで計28件、小倉クラッチがその他クラッチ部品で9件、日本精工はラジアル玉軸受などで7件の承認を得ている。

米国通商代表部(USTR)はリスト1適用除外申請に関するFAQPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で、審査基準として、(1)特定の製品が中国からしか入手できないか、(2)追加関税を課すことが、申請者またはその他の米国の利益に深刻な経済的損害をもたらすか、(3)特定の製品が戦略的に重要であるのか、または中国製造2025やその他の中国政策に関連するか、(4)米国税関・国境警備局によって適用除外を管理できるか、を挙げている。

(注1)リスト1の品目別適用除外制度の概要については2018年7月12日記事を参照。USTR作成の申請リストは、USTRウェブサイトのリスト1外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのページを参照。

(注2)適用除外申請は、製品ごとに提出する必要があるため、製品のHTSコードが同一でも複数の申請が行われている。

(中溝丘)

(米国、中国)

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