日本食品のイタリア市場参入、非日系市場開拓も視野に

(イタリア、日本)

欧州ロシアCIS課

2019年07月23日

ジェトロが7月9日から12日にかけて、東京、金沢、熊本の3カ所で実施した日本食品市場セミナーで、ドイツ市場(2019年7月22日記事参照)、フランス市場に続き、ジェトロ・ミラノ事務所の近正由紀コーディネーターがイタリア市場について講演した。概要は以下のとおり。

イタリアの家計支出の特徴は、食への支出の比率が大きいことで、2017年のデータによると、1世帯当たりの食料と非アルコール飲料の月平均支出額は462.77ユーロで、支出全体の18%を占めている。近隣諸国と比べて、特に野菜と果物への支出割合が高いのも特徴だ。一方、やや意外なことに、アルコール飲料への支出比率は低い。

家計の外食・宿泊費への支出も高水準で、近年大きく伸びている。「食」をテーマに2015年に開催されたミラノ国際博覧会がイタリアの消費者の外食に対する大きな意識変化のきっかけになった。特に、エスニック料理の人気が高まっている。日本食レストランは、友人との会食など社交イベントの会場として選択されている。ただし、イタリアの日本食レストランは現在、中国人をはじめとした非日本人経営によるものがほとんどで、かつ、中華料理などからの転向が多く、日本食に対する知識も深くないケースが多い。このため、売り込みに当たっては、商品の丁寧な説明が求められる。しかし、こうしたレストランはイタリアの消費者に日本食を浸透させる役割を担っており、無視できない市場となっている。小売市場に関しては、イタリア全土の消費者に販売できるオンライン販売が大きく成長している。特に、日本食材は人気があり、多くの事業者が取り扱いを希望している。品薄の状態が続いており、大きな商機がある。

一方、他の欧州市場で1つのキーワードとなっているベジタリアンやビーガンについては、一定の層は存在するものの、イタリアではその市場の大きな成長はまだ見られないという特徴もある。ただし、グルテンフリーや、ラクトースフリーは、痩身(そうしん)効果があると認識されており、市場が成長している。

イタリアのバイヤーから寄せられる要望としては賞味期限がある。イタリアでは特に長期間のものが望まれており、最低12カ月、また18カ月が望ましいという。

写真 講演する近正コーディネーター(ジェトロ撮影)

講演する近正コーディネーター(ジェトロ撮影)

写真 東京のセミナーには112人が参加、盛況となった(ジェトロ撮影)

東京のセミナーには112人が参加、盛況となった(ジェトロ撮影)

(福井崇泰)

(イタリア、日本)

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