アルゼンチン大統領選、予備選挙に向け与野党の接戦続く

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年07月26日

8月11日に実施される大統領選挙の予備選挙(PASO)(注)に向けて、現地メディアは世論調査結果を公表している。再選を目指すマウリシオ・マクリ大統領は、国内経済の低迷により逆風にさらされているが、支持率は回復基調にあり、アルベルト・フェルナンデス候補をはじめとする野党候補との接戦が伝えられている。

現地「ラ・ナシオン」紙(7月22日)では、国内11の世論調査会社・機関の最新結果を取りまとめている(表参照)。

表 現地調査会社における世論調査(予備選挙時の投票先)

最新の世論調査では、おおむねフェルナンデス候補が優位であると伝え、その差が最大で8.1ポイントとなっている。マクリ大統領がここまで苦戦を強いられているのは、2018年以降、経済が停滞し回復が遅れていることに加えて、2019年6月のインフレ率が年率55.8%となり、アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)によれば、失業率は第1四半期に10.1%に達するなど、マクロ経済指標が悪化しているからだ。

一方、これら世論調査で苦戦が伝えられているマクリ候補だが、4月下旬以降、為替の安定や月間インフレ率の低下などにより、景況感や政権支持率は回復基調で、これに伴い両候補者のポイント差も狭まっている。

調査会社シノプシスは、予備選挙の注目ポイントとして、(1)フェルナンデス候補が勝つのか、(2)フェルナンデス候補は得票率40%を獲得できるのか、(3)1位と2位との差が5ポイント以上開くのか、を挙げている。特に、(3)では、その差が縮まれば、10月27日に行われる大統領選挙は決選投票までもつれ、11月24日予定の決選投票ではマクリ大統領が逆転で勝利する可能性が高まるとしている。

(注)各政党(連立を含む)の統一候補を選ぶ選挙だが、各政党とも既に候補者を党内で選出済み(2019年6月28日記事参照)。党内候補者選びという本来の意味を持たないが、PASO自体は実施され、得票率1.5%以上を獲得した各政党や連立政党における最多得票者が、大統領候補者として10月27日に行われる本選挙へ進む資格を得る。有権者であれば、誰でも投票できる。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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