習国家主席、G20大阪サミットで開放拡大をあらためて強調

(中国)

北京発

2019年07月02日

中国の習近平国家主席は、G20大阪サミットに出席するため、6月27~29日に日本を訪問し、28日のサミット初日討議において、対外開放の推進などを表明した。

習国家主席は、現在の中国経済が「穏中向好(安定の中、向上あり)」の状態にあり、実質GDP成長率も6%以上の合理的なレンジを保っているとの認識を示した上で、対外開放の新局面を形成し、質の高い発展を実現するための5項目の措置に言及した(表参照)。

表 習近平国家主席がG20大阪サミットで表明した開放拡大に関する主な内容

そのうち、ネガティブリストについては、6月30日に商務部、国家発展改革委員会から一連のリストが発表され、外資の参入制限項目がさらに削減された(2019年7月2日記事参照)。また、国家発展改革委員会の担当者は、ネガティブリスト以外の法令による実質的な参入制限について、2019年末までにリスト外の全ての規制を廃止し、政策の一致性や内資・外資企業の平等待遇を実現すると述べている(「新華網」6月30日)。

デジタル経済ではインフラ整備や格差是正を強調

習国家主席はそのほか、イノベーションにおいて国際協力を推進すること、多国間貿易体制の強化、WTO改革の推進、金融セーフティーネットの確保と国際金融機関における開発途上国のプレゼンス向上、気候変動に関する「パリ協定」の実行、G20各国の経済政策協調において「発展」を重視すること、などを提唱したほか(「人民日報」6月29日)、翌29日の会議で途上国を含めた包摂的な発展について議論した際には、国連のSDGs(持続可能な開発目標)と「一帯一路」戦略のドッキングを進め、政策対話や実務的な協力を推進することで、世界経済の持続可能でバランスの取れた成長に貢献できるとした(「新華社」6月29日)。

また、6月28日に開催された「デジタル経済に関する首脳特別イベント」においては、データの取り扱いルールの整備(データの安全かつ秩序ある利用の確保)、デジタル経済と実体経済の融合発展の促進(デジタルインフラの建設強化、デジタルネットワークの相互接続の促進)、デジタル格差の是正などを主張しつつ、中国はデジタル経済大国として、積極的に国際協力に参加し、市場開放を堅持し、互恵・ウィンウィンを実現すると述べた(「人民日報」6月29日)。

(小宮昇平)

(中国)

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