外商投資ネガティブリストを改定、制限・禁止項目は40に減少

(中国)

北京発

2019年07月02日

中国商務部および国家発展改革委員会は6月30日、外資企業の投資を制限・禁止する分野を示した「外商投資ネガティブリスト」の2019年版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、7月30日から施行すると発表した(注1)。李克強首相が4月のボアオ・アジアフォーラムにおいて、6月末までに同リストを改定すると述べたほか、習近平国家主席も6月28日のG20大阪サミットで、近くリストを公表するとしていた。

一部の資源探査・開発や付加価値電信業務で外資単独が可能に

今回のリストでは、制限事項が2018年版の48項目から40項目に削減された。具体的には、鉱業における石油、天然ガス(炭層ガス、オイルシェール、オイルサンド、シェールガスを除く)の探査・開発について、中国企業との合弁・合作に限定するとしていた制限が撤廃されたほか、モリブデン、スズ、アンチモン、蛍石の探査・採掘への投資を禁止する規定が撤廃された(注2)。

情報通信業では、付加価値電信業務のうち、外資の出資比率が50%未満でなければならない規制の例外として、これまでもあった電子商取引に加えて、国内でのマルチ通信、データの保存・転送、コールセンターが追加された。

さらに、中国原産の野生動植物資源開発への投資禁止規定が撤廃されたほか、人口50万以上の都市でのガス・熱の供給網建設、国内船舶代理会社、公演・興行を行うマネジメント会社において、中国側の過半数出資を求める規定などが削除された。

自由貿易試験区では外資単独での出版物印刷なども可能に

また、全国12カ所の自由貿易試験区(注3)に所在する企業に対して適用されるネガティブリストの2019年版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも併せて公布された。同リストでは、中国の管轄海域および内陸水域における漁業への投資を禁止する規定が削除されたほか、出版物印刷、映画館の建設・経営において、中国側の過半数出資を求める規定が撤廃された。

外資投資を奨励するリストも正式に公布

このほか、外資の投資を奨励する項目について定めた「外商投資奨励産業指導目録(2019年版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」も公布された。同目録は2019年2月から3月2日まで意見募集が行われていたもの(2019年2月13日記事参照)で、今回の目録では奨励項目が415と、意見募集稿時点(402項目)よりも増加している。また、同目録の後半部分は中西部地域への投資を奨励する項目のリストとなっている。

ネガティブリスト以外の他法令の改正動向にも注目

過去数年にわたるネガティブリストの改定により、同リスト上では外資投資を制限する項目数は大幅に削減された。一方、在中国日系企業の団体である中国日本商会が作成した「中国経済と日本企業2019年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が指摘するように、ネガティブリストには規定されていないが、他の関連法令によって外資の参入が実質的に制限されている分野も存在する(2019年6月21日記事参照)。習国家主席も6月28日のスピーチにおいて、ネガティブリスト以外の外資参入制限は全面的に撤廃するとしており、今後はこうした他法令の改正動向にも注視が必要となる。

(注1)他のリストも7月30日に施行される。

(注2)レアメタルの一種であるタングステンの探査・採掘に対する投資は引き続き禁止となっている。

(注3)6月28日の習国家主席のスピーチでは、自由貿易試験区を6カ所新設するとしたほか、中国(上海)自由貿易試験区の中に新区画を増設することが発表されている。

(小宮昇平)

(中国)

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