政府主導でアクセラレーションプログラムのデモ・デーを開催

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年07月23日

ブラジル経済省は7月22日、ブラジル零細・小企業支援サービス(SEBRAE)とイノベーションテクノロジーセンター(CERTI)との共催で実施したアクセラレーションプログラム「イノバチバ・ブラジル(InovAtiva Brasil)」のデモ・デーを開催した。約300人の関係者が参加した。

このイベントでは、4月22日から実施されたアクセラレーションプログラム(2019年4月19日記事参照)を受講したブラジルのスタートアップが、各社のビジネスモデルを投資家にプレゼンテーションした。アクセラレーションプログラムには732社の申し込みがあり、そのうち122社が選定され、その中から86社が自社サービスを売り込んだ。

最優秀賞を獲得したのは、インスタグラムとファッションリテール分野のEコマースプラットフォームを統合するサービスを提供するプレッピ(Prepi)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだった。同社は、ファッションリテーラーの中小企業がウェブサイト製作費、顧客からの問い合わせ対応に課題を感じていることに着目し、プレッピのアプリで安価にウェブサイトを代替する機能を実現するとともに、そのサイトをインスタグラムのストーリー機能やタグ付け機能に統合した。インスタグラム内で紹介する商品を購入したい顧客をプレッピアプリの商品紹介ページに誘導するサービスだ。アプリケーションを通じてウェブサイト製作や運営費を抑えるとともに、在庫管理と配達料の比較機能を実装し、さらに、インスタグラムを通じて販売拡大、商品に関する問い合わせ対応の簡素化を実現した。ドイツの民間統計データベース会社スタティスタによると、7月時点の国別インスタグラムユーザー数はブラジルが米国に次いで世界2位(約7,000万人)で、今後も拡大が見込まれる。

ジェトロが同社のブルーノ・フィーリョ最高経営責任者(CEO)にインタビューしたところ、「このプログラムはオンラインでのメンタリングを実施しており、大都市で法務のアドバイスを提供するメンターなどのアドバイスが受けられた点にメリットを感じた」と述べた。同社は、国内最大の商圏サンパウロ市から遠いブラジル北東部に位置するレシフェ市に所在するペルナンブッコ国立大学からスピンオフしたスタートアップで、国土の広いブラジルに点在するメンターとのアクセスに課題を感じていたからだ。

プログラムの主催者であり、経済省でイノベーションを担当するイゴール・ナザレ・イノベーション担当次長は「今回のデモ・デーは159人の投資家が参加し、ビジネス機会創出に貢献した」と述べた。経済省は政府関係機関やアクセラレーターを巻き込み、官民による国内のエコシステム強化に取り組むことで、ブラジルの多様な地域・分野での革新的なビジネス促進を狙っている。

写真 プレッピのブルーノ・フィーリョCEO(左)とハモン・ペレイラ最高技術責任者(CTO)兼共同創始者(ジェトロ撮影)

プレッピのブルーノ・フィーリョCEO(左)とハモン・ペレイラ最高技術責任者(CTO)兼共同創始者(ジェトロ撮影)

(古木勇生)

(ブラジル)

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