中国、板門店での米朝首脳会談の意義を評価、支持を表明

(中国、米国、北朝鮮)

北京発

2019年07月04日

米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は6月30日、朝鮮半島の南北非武装地帯(DMZ)にある板門店で3回目の首脳会談を行った。中国外交部の耿爽報道官は7月1日の定例記者会見で、「米朝韓首脳が友好的に会ったことは歓迎に値する」と評価し、「会談は建設的で、前向きな成果を収めた。特に、米朝双方が近く実務者協議を再開すると決定したことには重要な意義がある。中国側はこれを支持する」と表明した。

耿報道官はさらに、「朝鮮半島における非核化の実現、半島の平和と安定の擁護、対話を通じた問題解決を堅持する」という中国側の「3つの堅持」原則を強調した上で、「中国は、関係各国との意思疎通や調整を強化し、半島の非核化と政治的解決のプロセスを不断に推進することで、新たな進展が得られるよう望む」と述べた。

王毅国務委員兼外交部長は7月2日、大阪で6月29日に行われた米中首脳会談で習近平国家主席がトランプ大統領に対し、朝鮮半島問題に関する中国側の原則的な立場を説明し、米国側が対北朝鮮経済制裁の緩和も含め柔軟な姿勢を示すよう働き掛けたことを明らかにした。また、王部長は会談について、「正しい方向に向かう重要な一歩であり、中国はこれを歓迎し、支持する」と述べたほか、6月20、21日の習国家主席の訪朝(2019年6月27日記事参照)について、朝鮮半島問題をめぐる最近の各国によるポジティブな動きとして挙げた(「環球網」7月2日)。

中国社会科学院アジア太平洋・世界戦略研究院の王俊生研究員は、今回の米朝首脳会談について、「トランプ大統領としては、前回のハノイ会談の成果が乏しく、米国内で対話による北朝鮮の核問題解決に対して疑問の声が上がる中で、今回、金氏と再度会談し、依然として朝鮮半島問題を対話で解決するとの希望を表明することで、2020年の大統領選挙での再選へ向けてポイントを稼ぎたい考えがあった。北朝鮮側としては、米国との対話を通じて自国にとって有利な国際環境を築くことができ、経済発展という戦略目標の実現にも資する」と、米朝双方の思惑を分析した(「新華網」6月30日)。

同時に、王研究員は、今回の会談について、「米朝の対話に新たな活力を注入したという点で意義がある。今回の首脳会談は時間こそ短かったものの、ハノイ会談の悲観的なムードをある程度払拭(ふっしょく)したことで、対話を引き続き正しい方向に進ませることができる」と指摘した。

(趙薇)

(中国、米国、北朝鮮)

ビジネス短信 73595fbd13504897