労働許可証の取得には、不備のない申請書類の速やかな準備が必要

(ポーランド)

ワルシャワ発

2019年07月31日

ポーランド政府が外国企業誘致に積極的に取り組む中、日本企業は事業を活発に展開しており、新たな拠点設立に関する相談がジェトロに複数寄せられている。一方で最近、ポーランドでの就労に必要な諸手続きに多大な時間を要すると指摘する日系企業関係者の声が増えている。

ポーランドでの就労には、労働許可証と就労ビザを取得する必要がある。労働許可証はポーランドでの就労予定地の県庁が発行するが、現在、当局の人員不足により労働許可証の発行に特に時間を要している。

ジェトロが駐在員(タイプC)(注)の赴任に伴い、労働許可証を2019年7月25日に取得したケースでは、当局への最初のコンタクトから取得まで約3カ月を要した。

実際に行ったワルシャワでの手続きは次のとおり。

2019年から手続き方法に変更があったため、4月から当局のウェブサイトで情報収集を行い、必要に応じてメールなどで確認の上、提出書類を整えた。その間、指定された登録日(5月30日)に労働許可証を申請する意思表示をするために、ウェブ上で登録作業を行い、申請日時は6月28日正午になるとの通知を受けた。同日までに提出書類を全て準備し、申請書を提出した。審査を経て問題がなければ、7月26日に労働許可証は発行されると告げられた。

申請時には、当局からの連絡はなかったが、労働許可証発行予定日の前日の7月25日になり、書類に不備があるとの連絡があった。しかし、弁護士に相談の上で書類に不備はない旨を説明したところ、即日発行となった。

本ケースを通して、当局には非常に多くの申請書類が提出されている一方、人員不足により担当者が対応に追われ、書類の不備などに対して誤認があるなど、個別に十分な対応ができない状況にあることが判明した。

申請のための希望日時を指定できないため、事前に当局に確認しつつ、不備のない申請書類の準備を申請日までに行うことが求められる。また必要に応じて、手続きに詳しい弁護士に相談し、当局からの指摘に対して書類に不備はないことを説明するなどの対応が求められる。

なお、労働許可証を取得後は、在日ポーランド大使館に就労ビザの申請をする必要がある。事前にオンラインシステム「e-Konsulat」で、訪問日の予約とともに申請書の作成と登録をする必要がある。発給にかかる期間は、全ての書類がそろった時点から最長2週間を要する。例えば、マゾフシェ県での労働許可証取得に関する情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます在日ポーランド大使館の就労ビザ取得に関する情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは該当ページで確認できる。

(注)外国人の労働許可証には、就労目的に応じA~Eの5タイプがある。タイプCは駐在員が経営者や役員の立場ではなく、外国法人の子会社などの社員として業務する場合を想定。タイプにより、取得に要する時間は異なる。

(清水幹彦)

(ポーランド)

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