G20参加の南ア、米中貿易摩擦の影響に注目集まる

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2019年07月08日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は6月28、29日のG20大阪サミット(首脳会議)に参加した。同氏の日本公式訪問は2018年2月の大統領就任後初めてで、副大統領時代の2015年8月以来となった。

G20の大きな焦点だった米中貿易摩擦に関し、米中首脳会談による華為技術(ファーウェイ)に対する米国の輸出規制の緩和(2019年7月1日記事参照)は、南ア国内でも好意的に受け止められた。南アの通信事業者MTN、テルコム、ボーダコム(英国ボーダフォンとテルコムの合弁会社)、セルCはかねて、ファーウェイは南アの通信業界の根幹をなす製品を供給しており、第5世代移動通信システム(5G)技術のトップランナーであることから、米国による同社への規制に反対するようラマポーザ大統領に呼び掛けていた。大統領はサミット開催前から、中国側を支援するという立場を表明していた。

ラマポーザ大統領は6月29日に安倍晋三首相との首脳会談を行った。8月28~30日に横浜で開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に参加することを表明したほか、南アはビジネス投資環境改善に取り組んでいることを伝えた。また、今回のG20の焦点の1つだったデジタル経済・貿易分野では、安倍首相はデータ流通、電子商取引の国際ルール作りに向けた「大阪トラック」に南アの参加を要望していることが伝えた。

29日には、南ア貿易産業相主催の「日・南アCEOビジネスラウンドテーブル」が開催され、ラマポーザ大統領が直接、日本企業約20社に対し、南アへのさらなる投資を呼び掛けた。大統領は訪日中にロシア、中国、サウジアラビアの各首脳と個別会談を行ったほか、中国の習近平国家主席やエジプト、セネガルの大統領らが出席した「中国アフリカリーダーズミーティング」や、BRICS首脳会議にも参加した(2019年7月2日記事参照)

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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