税関総局、CPTPP税率の適用を指示

(ベトナム)

ハノイ発

2019年07月23日

ベトナム税関総局は7月9日、公文書4470/TCHQ-TXNK号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを全国の省・市の税関支局に対して発出し、環太平洋パートナーシップに関する先進的かつ包括的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)に基づいて2019~2022年の関税率表を定めた政令57/2019/ND-CP号の実施を指示した(政令57号に関しては、2019年7月2日記事参照)。

この公文書によって、CPTPPのベトナムでの発効日である1月14日から政令57号の発効日の6月26日までに輸出入された貨物に対する過払い関税の処理手続きが明らかになった。CPTPPの適用条件を満たしていたにもかかわらず、輸入時にCPTPPに基づく関税よりも高い関税を納付していた場合には、税関申告者は財務省通達39/2018/TT-BTC号で定める様式27/CVDNHNT/TXNKを使って、輸入関税の払い戻しを求める申請書を提出することができる。その際は、CPTPPに基づき原産地を証明する書類、CPTPPの締約国からベトナムへ輸入されたことを証明する輸送書類を添付する必要がある。貨物がCPTPPの締約国ではない国を経由した場合には、当該貨物に変更が加えられてはならず、財務省通達38/2018/TT-BTC号第18条3項に定める積送基準を満たしていることの証明書(経由国で税関当局の監視下にあったことの確認書など)を提出しなければならない(注1)。

また、税関総局は7月15日、CPTPP税率の適用について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますウェブサイト上のFAQページに掲載した。これによると、政令57号第5条の適用条件を満たしていれば、CPTPP税率が適用される(注2)。ベトナムでは、CPTPPの関税譲許表の国内実施法である本政令の公布が遅れたため、CPTPPの関税率の適用ができないという異常事態が続いていた。その後、政令57号が公布・施行されてもなお、輸入時の原産地の確定に関する財務省通達38/2018/TT-BTC号がCPTPPの規定を盛り込むために改定作業中であることから、CPTPP税率適用の可否について一部で混乱が生じていた。

(注1)その他の手続きや処理については、財務省通達39/2018/TT-BTC号第1項64項、65項に基づく。

(注2)例えば、政令57号第5条第6項では、CPTPP税率の適用条件として、(1)CPTPPの特別優遇税率表に掲載されている品目であること、(2)CPTPPの締約国からの輸入であること(ベトナム内の非関税地域からの輸入を含む)、(3)協定の規定に従いCPTPPの締約国から輸送されること(締約国ではない国で経由、積み替えがあった場合は変更が加えられていないこと)、(4)CPTPP協定の規定に従い、貨物の原産地に関する規定を満たし、原産地を証明する書類があることが規定されている。

(北嶋誠士、グェン・ティ・クイン・アイン)

(ベトナム)

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