ウズベキスタン政府事業の効率的執行を求め、会計検査院の機能を強化

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は7月1日、共和国法「ウズベキスタン共和国会計検査院について」に署名した。会計検査院を各政府機関に対する外部監査、財務管理の上位機関と位置付け、機能を強化する。施行は2020年1月1日。

同法では、a.適法性、b.独立性、c.客観性、d.公開性、e.透明性の5つの原則に基づき、会計検査院の業務として、a.国家予算事業の指標作成に向けた制度分析、b.国家・地方事業への政府予算の十分な供給に関する監査、c.政府収入増に向けた余剰金の特定・活用、d.政府予算執行の適法性と効率性の監査とそれに伴う支出の削減に明確化する。

ミルジヨエフ大統領はこれまで政府に対し、大統領令の完全な履行と政府事業の効率的執行を求めている。会計検査院に上記のほか、e.政府予算もしくは政府借入資金を原資とする投資事業への評価、f.税・関税・政府予算関連立法への提案、g.新しい予算管理手法の導入、h.予算や大統領令の執行に関する評価、i.金融、金・外貨準備政策への外部監査など広範な監査権限を与え、政府の効率的・実質的な政策履行を求めていく。

なお、ウズベキスタンと政治・経済関係の強いロシアでも、会計検査院の機能を強化する流れにある。著名エコノミストで元財務相のアレクセイ・クドリン氏が会計検査院議長に就任して以降（2018年5月21日記事参照）、会計検査院は積極的に連邦政府の政策の非効率性などを厳しく指摘。プーチン大統領は5月29日に会計検査院の機能を拡大する連邦法（第106号－FZ）に署名し、国家予算で補助する民間事業（2018年11月30日記事参照）にも検査院の監査対象を拡大させている。

ウズベキスタン、ロシアともに、国家予算を投入した政府主導型の経済開発政策を進めており、放漫になりがちな政府資金の支出を抑制的・効率化するため会計検査院の機能を積極的に活用する狙いとみられる。

（高橋淳）