第1四半期のGDP成長率はマイナス3.2%、3期ぶりのマイナス成長

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2019年06月10日

南アフリカ共和国統計局は6月4日、2019年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(前期比年率換算、季節調整済み)をマイナス3.2%と発表した(表1参照)。3期ぶりのマイナス成長となった。

表1  産業別GDP成長率(実質、前期比年率換算、季節調整済み)

産業別では、製造業が石油・化学品、自動車、木材製品の生産縮小により8.8%減となり、最大のマイナス寄与度だった。農林水産業も主要穀物メイズや野菜・花卉(かき)の生産減少の影響で、前期までのプラス成長から一転、13.2%減となった。鉱業もダイヤモンドや鉄鉱石、石炭の生産減少により10.8%減だった。他方で、産業別GDPの約2割を占める金融・保険・不動産業・企業サービスは1.1%増で、14期以上連続のプラス成長となり、経済を下支えした。

需要項目別にみると、輸出が貴金属、卑金属、自動車・部品の減少により26.4%減となり、最大のマイナス要因だった(表2参照)。需要全体の約6割を占める民間最終消費支出は、衣料品・靴、交通、レジャーなどの個人消費の低迷により0.8%減で、13期ぶりにマイナス成長となった。総固定資本形成も、機械設備・機器への設備投資および非住居用ビルなどの建設工事が低調で、4.5%減と5期連続のマイナス成長だった。5月8日に実施された総選挙とその後の大統領選出・新内閣発表(2019年5月31日記事参照)まで企業が新規投資を控えたとみられる。他方で、政府最終消費支出は公務員の人件費、財・サービスの支出増により1.3%増となり、8期連続のプラス成長だった。

表2  需要項目別GDP成長率(実質、前期比年率換算、季節調整済み)

通貨ランドは、1ドル=14.46ランドから、今回の発表直後に14.64ランドに下落した。業界の事前予測では第1四半期のGDP成長率はマイナス1.6%前後とされていたことから、2009年の金融危機以来の大幅なマイナス成長の発表に、市場は即座に反応したとみられる。同国の大手銀行ネドバンクは、今回の予測を上回るマイナス成長は電力不足(2019年3月28日記事参照)や世界経済の減速などの影響とした上で、2019年では前年の成長率(0.8%)を上回る1.3%程度まで回復すると予想した。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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