計画停電続き、電力不足は長期化の可能性

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2019年03月28日

南アフリカ共和国では2015年以来の大規模な計画停電が、電力公社エスコムによって実施され、特に3月に入ってからはほぼ毎日、数時間の計画停電が続くなど、国民生活や同国経済に大きな影響が出ている。これを受け、公共事業省とエスコムは3月19日に合同記者会見を開いた。

プラビン・ゴーダン公共事業相は、計画停電の実施は発電施設の老朽化と維持補修にかかる経費不足によるものだと発表した。同席した、エスコムのデイビッド・マブーザ会長は「エスコムは財政、構造、運営上の問題を抱えている。維持補修にかかる予算は5年間で370億ランド(約2,849億円、1ランド=約7.7円)から100億ランドに減少している」と説明。さらに、メデュピおよびクシレ石炭火力発電所が計画どおりに電力を生産できていないこと、南アに年間約1,500メガワットの電力を供給する隣国モザンビークのカオラ・バッサ水力発電所が大型サイクロン・イダイにより被害を受け、送電容量が低下していることも要因として挙げた。計画停電は、向こう6カ月にわたって続く可能性があることにも言及した。

南ア政府は国庫注入により、財政支出の赤字拡大の要因となっているエスコムの事業分離案を2月に発表したばかりだ(2019年2月13日記事参照)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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