3月の産業活動指数は前年同月比、前月比ともにマイナス

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年06月03日

国家統計センサス局(INDEC)は5月22日、3月のアルゼンチンの産業活動指数PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が前年同月比6.8%減、前月比1.3%減だったと発表した。前年同月比では11カ月連続のマイナス成長となり、前月比でも3月の通貨切り下げや金利上昇の影響によって、2018年12月から続いていたプラス成長からマイナスに転じた(図参照)。

図 産業活動指数の推移

産業別でみると、農業・牧畜・狩猟・林業が前年同月比10.8%増と大きく伸び、全体の落ち込みを抑えている(表参照)。高い伸び率を示した理由は、2019年の農業分野において、主要農作物の大豆とトウモロコシの生産量が増加傾向にあり(2019年5月14日記事参照)、半世紀に1度の干ばつに見舞われ不作となった前年と比較していることにある。同分野以外では、教育(1.0%増)と社会・健康サービス(0.2%増)のみがプラス成長だった。そのほかは全てマイナスとなり、特に商業(14.6%減)、金融仲介業(13.9%減)、製造業(13.2%減)、建設業(7.1%減)が大幅に落ち込んだ。

表 産業別の産業活動指数(2019年3月)

3月の産業活動指数を踏まえ、民間エコノミストは為替のボラティリティー(変動の激しさ)や高止まりする金利、期待水準値を上回るインフレによって、当初の想定よりも経済回復が遅れるだろうと指摘する。また、2019年10月に大統領選挙を控えた政治的不安定さが加わることにより、あらゆる投資に関する決定も先延ばしになると予測している。他方、5月中旬にアルゼンチンを訪問したIMFのロベルト・カルダレリ氏は、アルゼンチン経済に関し「最悪な状態は過ぎ去った」とし、4月の農作物の収穫高が寄与して第2四半期からGDPは成長する、とコメントした(「クラリン」紙5月22日)。

(高橋栞里)

(アルゼンチン)

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